地球工学科

この地球は、私たちが祖先から受け継いだ生命の星であり、この星の生物たちが数十億年かけて築きあげた生命のふるさとです。この美しい生命共同体とその環境に守られながら、人類は文明を築き発展させてきました。しかし20世紀の地球の歴史は、人口の急増、人間生活を支え豊かにするための産業技術の高度化、およびそれに伴う資源の大量消費や環境汚染問題が顕在化し、深刻な矛盾をもたらしました。

いま、このような状況のなかで21世紀を迎え、哲学や人類学あるいは経済学から生命科学、惑星科学に至るあらゆる学問がときに分裂し、融合し、さらに再定義されつつあります。諸学問が激しく泡立ちながら、新しい人間観と環境観を模索し始め、その背後には鮮やかな地球の姿を見ることができます。すなわち地球という新しい思想を人類は迎え入れたと言うことです。

コロンブスやコペルニクス以来のこの地球観の革新は、人類に生活様式の編みなおしを促す問題提起でもあります。その実行可能な答えが具体的に示されなければなりません。この問題に答えるのは誰でしょうか?私たちはこの新しい地球観に共鳴し、その要請に応えて問題を解決し、文明を再編集する実学として、《地球工学》を提唱し、平成8年度より地球工学科を発足させました。地球工学は、地下数十kmから地上数万kmを視野に入れて地球空間を合理的に開発・保全し、また人類の持続可能な発展とその将来を開拓・保証するための新たな学問分野です。その領域は、文明の運営に必要な資源・エネルギーの技術体系〈資源工学〉、文明を支える基盤としてのインフラストラクチャー(社会基盤施設)の技術体系〈土木工学〉、そして、人間・自然環境の均衡を維持する技術体系〈環境工学〉の3部門とそれらの活発な交流によって構成されています。

さらに平成23年4月より、国際的な技術者を養成する目的で、全ての授業を英語で受講することができる国際コースを新たに開設しています。

カリキュラムの概要

地球工学が貢献すべき科学技術の領域は極めて多岐にわたりますが、これらの広い領域の総合的理解なくして、地球全体の合理的な開発・保全と人類の持続可能な発展を考えることは不可能です。

第1、2学年では、人間形成および工学の基礎として、人文・社会科学、外国語および数学、物理学、化学、生物学、地球科学などを学習します。また、地球工学の基礎として、確率統計、情報処理、構造力学、水理学、土質力学、計画システム分析、資源エネルギー、物理探査学、環境衛生学、基礎環境工学などを共通のカリキュラムのもとに履修します。

第3学年では、土木工学コース資源工学コース環境工学コースのいずれか、興味の深い分野へと進みます。それぞれのコースでは多彩な選択科目が用意され希望に応じた履修が可能です。ただし、国際コースについては、入学時にコース分けがなされており、入学後他コースへの変更はできません。カリキュラムは、土木コースにほぼ準拠しています。

第4学年になると、選択科目に加え、各コースの研究室に所属して特定のテーマについて卒業研究(特別研究)を行い、最先端の研究にかかわります。

以上のような4年間にわたる授業および卒業研究を通じて、地球工学の基本原理や関連する科学技術を総合的に理解しうる基礎学力を培います。さらに、それらを礎として、それぞれの興味のある特定のテーマを深く学習するとともに、様々な領域にまたがる広範な分野を総合的に学び、大学院や実社会における高度な研究や実務を行うのに必要とされる専門知識と能力を修得します。また、第4学年は大学院進学あるいは就職など卒業後の進路を決める時期でもあります。大多数の学生は、さらに高度な専門知識を修得し、研究および実務的能力を養うため、学部を卒業したのち大学院修士課程に進学します。その進路は工学研究科(社会基盤工学専攻、都市社会工学専攻、都市環境工学専攻)、エネルギー科学研究科(エネルギー社会・環境科学専攻、エネルギー応用科学専攻)、地球環境学舎(環境マネジメント専攻)、経営管理大学院などとなっています。また、大学院は、防災研究所、原子炉実験所、環境安全保健機構、学術情報メディアセンターおよび工学研究科附属流域圏総合環境質研究センターなどの協力の下に、教育・研究を強力に進める体制が整備されています。

地球工学が育成を目指す人材とは、何よりも、新しい文明像を求める志と構想力を持ち、国際的に活躍できる若者です。そして、“Think Globally, Act Locally”の標語のとおり地球大の視野で考え、技術を以て積極的に行動する技術者、研究者および行政官です。