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工学研究科教育プログラム

 京都大学工学研究科には、修士課程教育プログラム(修士プログラム)に加えて、修士課程と博士後期課程を連携させる博士課程前後期連携教育プログラム(連携プログラム)が設置されています。
 修士課程に入学と同時に博士学位取得を目指す人は5年型の、修士2年次から博士学位を目指す人は4年型の連携プログラムを履修します。

修士課程教育プログラムについて(修士プログラム)

 修士プログラムは、工学研究科の17専攻のそれぞれにおいて開設されています。各専門学術分野の基礎となる学識を修得するとともに、修士論文研究を通じて研究の進め方を学びます。企業、研究機関、政府機関や国際機関等において活躍する研究能力を有する高度技術者・研究者の育成を目指します。
 修士プログラムを修了した人、あるいはすでに修士学位を有する人が博士学位取得を目指す場合は、博士後期課程に入学し、3年型の連携プログラムを履修することができます。 

博士課程前後期連携教育プログラムについて(連携プログラム)

 連携プログラムには、高度工学コースと融合工学コースの2コースが設置されています。5年型及び4年型の連携プログラムを履修する人は、修士課程修了時に所定の審査を経て修士の学位を取得し、さらに博士後期課程に進学します。

(1)高度工学コースと融合工学コース

 高度工学コースは、工学研究科の各専攻に開設されています。工学の基盤を支える専門分野の真理を探究し、学術の発展に貢献できる人材を養成します。優れた研究のみならず、研究チームを組織して新たな研究を企画しリードすることができる研究推進能力、高度な専門知識、さらに高い倫理性をもつ博士研究者の育成を目指します。
 融合工学コースは、工学研究科高等教育院に開設されており、平成26年度は8つのコース(応用力学分野、発展的持続性社会基盤工学分野、物質機能・変換科学分野、生命・医工学融合分野、融合光・電子科学創成分野、人間安全保障工学分野、デザイン学分野及び総合医療工学分野)が提供されています。既存の工学分野を横断する新しい融合領域、境界領域において、真理を探究し学術の発展に貢献するとともに、研究チームを組織し新たな研究を企画しリードすることができる研究推進能力、高度な知識、さらに高い倫理性をもつ博士研究者の育成を目指します。 

(2)履修指導及び提供科目

 連携プログラムを履修する人は、各コースで提供される科目等から、履修生の学習目標に応じたテーラーメイドカリキュラムを作成し、修士課程と博士後期課程を連携させて効率的に学修を進めます。専門分野の学識を深めるための科目群に加えて、専門分野を超える幅広い学識を修得するための科目群、課題を発見し解決する能力を育成するための実体験型科目群を履修します。これらの科目の学修指導や研究指導を複数の指導教員が担当し、早期に博士学位を取得できるように支援します。

融合コース

応用力学分野

連携プログラム:融合工学コース

 学界や産業界における機械工学分野ならびに化学工学分野の研究者及び高度技術者には、熱・ 物質・運動量の移動が絡む複雑現象を理解でき、そこで生み出される機能性材料・機械構造物・機械システム・化学プロセス・エネルギー変換プロセスの設計及び性能評価と、物と人が織り成す動的な複雑現象をシステムとしての戦略的思考のもとに制御・管理できる能力が必須のものとして要求されます。これらは機械工学分野の技術者のみではなく、基盤・先端技術をもって社会を支えている複数の工学分野( 航空、原子核、材料、環境、土木等)でも必須であり、その能力養成には流体力学、熱力学、材料力学、制御工学に関する基礎学問の教育が必要です。
 世界的に通用する教員が、上記4つの基礎学問に関する系統的講義はもとより、高等研究院及びオープンラボの協力を得て行う先端的研究を通して高等教育を施し、機械系専攻のみならず、化学工学専攻・原子核工学専攻等の専攻に所属の融合工学コース博士課程学生に対しても知識を教授していくことで、領域横断的な普遍的問題を理解でき、バランスのとれた若手研究者及び高度技術者を養成します。

発展的持続性社会基盤工学分野

連携プロクラム:融合コース

 21世紀は人類社会の持続的な発展と自然環境との共生を可能とする新しい科学技術の世紀です。安全・安心で活力があり国際競争力のある社会を保全創出するため、基礎的な科学的解明にもとづき、社会基盤および環境を維持・発展させてゆく学理・技術体系が求められています。発展的持続性社会基盤工学分野では、地球環境、基礎的科学・工学、社会環境および生態系を含む自然環境に関する学理・技術を学際的に学び、将来の問題を自発的に発見し、課題を自ら解決でき、さらに革新的な技術の研究開発を担うことのできる研究・技術者を養成することを目指しています。すなわち、社会基盤、資源エネルギー、防災、環境や都市科学の知識のみでなく、広く工学の基礎とその先端的応用を学び、意欲的に研究開発に取り組む人材、さらに国際的なリーダーシップを発揮して世界で活躍を目指す研究者・高度技術者を育成します。  ※平成28年度以降募集停止

物質機能・変換科学分野

連携プログラム:融合コース

 物質機能・変換科学は21世紀の科学・技術を担う最先端の分野であり、人類社会の持続的な発展にとっても、必要・不可欠です。本分野では、有機、無機、高分子、金属、生体関連物質などの幅広い物質や材料の構造、物性、機能、変換過程などに関する教育を行います。世界をリードする複数の教員による指導のもと、各学生の希望や学力背景に応じたテイラーメードカリキュラムによりきめ細かい教育を行うとともに、指導教員の所属する専攻にとらわれることなく、幅広い知識と視野を獲得できる融合的な教育環境を提供します。
 さらに、新規な高機能物質の精密設計や変換に関わる研究、材料の力学的、熱的、電子的、光学的、化学的、生命科学的特性に関わる研究、サブナノメートルレベルからメートルレベルにいたる物質構造やその形成に関わる研究、環境の保全や環境に調和した生産技術に関わる研究などを通じて、高度な問題提示能力や、問題解決能力を持つ学生を養成します。
 コア科目などの魅力的な講義や演習による教育に加えて、京都大学・連携企業・国際的研究機関等における最先端の研究の実践を通じた教育(ORT: On the Research Training) やインターンシップ・セミナーなどを含む多面的なカリキュラムを提供します。このような充実したカリキュラムを通じて、高い倫理観を備え、物質や材料に関する幅広い基礎学力と広い視野に裏打ちされた独創的な課題設定能力及び解決能力を身につけ、新発見・発明への高い意欲と国際性をもち、リーダーとして社会に貢献できる研究者・技術者を養成します。

<プレスーパーグローバルコース>

 本分野中に「京都大学ジャパンゲートウェイ構想(JGP)」に基づくプレスーパーグローバルコースを設置しています。本コースは、21世紀の持続的社会構築に必要なエネルギー、環境、資源問題など、化学・化学工学が係わる各分野において、広い視野で自ら考え、解決策を構築し、またその考えを世界に発信できる能力を有する研究者・技術者を育成し国際社会に送り出すことで、地球社会の調和ある共存に貢献することを目指します。上記の目的を達成するために、連携海外大学教員の講義を含め、本コース後期の教育は原則英語で実施します。

生命・医工融合分野

連携プロクラム:融合コース

 工学と医学の連携は様々な領域で進められています。工学を基礎として医学・生命科学分野との融合領域における学理及び技術を学び、革新的な生体・医療技術の研究開発能力を有する研究者・技術者及び研究リーダーを養成します。
 本分野はバイオナノ・先端医学量子物理・ケミカルバイオロジー・バイオマテリアル等の領域からなっており、豊富な講義科目と演習及び国内外の研究機関や企業におけるORT(On the Research Training)やインターンシップ等により、幅広い学識と国際性を養います。特に工学・物理・化学・医学・理学・生物学の連携により、幅広い教育プログラムを提供します。

1) バイオナノ領域

 工学と医学・生物及び細胞・分子との融合領域であるナノメディシン領域とナノバイオ領域や再生医療領域を対象とし、MEMS(Micro Electromechanical Systems)、マイクロTAS(Total Analysis Systems)等のナノデバイスを用いた先端技術の研究と教育を行います。

2) 先端医学量子物理領域

 量子放射線・物理工学の専門知識を基に、放射線医学・放射線生物学等の素養と臨床実習を通して、放射線医学分野における医工融合型研究を展開し得る能力のある研究者の育成を行います。

3) ケミカルバイオロジー領域

 化学と分子生物学を基盤として化学/生物学/分子(生物)工学/医学との融合領域であるケミカルバイオロジーとナノバイオサイエンス・テクノロジーを対象とした先端科学技術の研究教育を行います。

4) バイオマテリアル領域

 治療、予防、診断あるいは再生医療などの先端医療に不可欠であるバイオマテリマル(医用材料・デバイス、再生誘導用材料、ドラッグデリバリーシステム(DDS)材料など)の設計、合成、化学的・物理的性質の解析、ならびにそれらの生化学的、生物医学的な評価など、生体機能をもつ材料の開発を、高分子化学、材料化学、医学、生物学の見地から融合的に研究し、活躍できる人材を育成する教育を行います。

融合光・電子科学創成分野

連携プロクラム:融合コース

 21世紀においては全世界規模で情報処理量とエネルギー消費が爆発的に増大し、既存の材料・概念で構成されるハードウェアの性能限界と地球資源の枯渇が顕著になると予測されています。このような課題の解決に貢献し、光・電子科学分野で世界を先導するためには、電気エネルギー・システム工学、電子工学、量子物性工学、材料科学、化学工学、光機能工学、集積システム工学、量子物理工学など複数の異分野を融合して新しい学術分野を開拓し、かつ当該分野を牽引する若手研究者、高度技術者を育成することが重要です。
 本教育プログラムでは、光・電子科学に関わる融合領域を開拓する教育研究を通じて、新しい学術分野における高い専門的知識・能力に加えて、既存の物理限界を超える概念・機能を創出する革新的創造性を備えた人材の育成を目指します。究極的な光子制御による新機能光学素子や高効率固体照明の実現、極限的な電子制御による耐環境素子や超集積システムの実現、光・スピン・イオンを用いた新機能素子や新規プロセスの開発、強相関電子系物質や分子ナノ物質の創成と物性制御、高密度エネルギーシステムの制御とその基礎理論、新しい物理現象を用いたナノレベル計測とその学理探求などの融合分野において、常に世界を意識した教育研究を推進します。様々な分野で世界的に活躍する教員による基盤的及び先端的な講義、各学生の目的に応じたテーラーメイドのカリキュラムやインターンシップ等を活用した教育、光・電子理工学教育研究センターや高等研究院(光・電子理工学)の協力を得て行う先端的融合研究を通じて、広い視野と高い独創性、国際性、自立性を涵養し、光・電子科学分野を牽引する人材を育成します。

人間安全保障工学分野

連携プロクラム:融合コース

 世界の都市域人口は急激に増加を続け、2050年には世界人口(推定93億人)の約68%に達し、その53%がアジア地域に、20%がアフリカ地域に集中すると予測されています。特に、1970年以前に2都市しかなかった人口1000万人以上のメガシティは、2025年には37都市に増加し、そのうち22都市がアジア地域に集中することが予測され、これらの都市におけるベーシック・ヒューマン・ニーズの未充足、環境汚染の増大、異常気象や地震等による災害リスクの増加、これらの脅威に対する個々人及びコミュニティ・レベルでの自立的対応能力の欠如は、人間の生存・生活への大きな脅威となっています。しかし、これらの脅威に対して、技術、制度、運営、管理、カバナンス及びそれらを体系的にマネジメントする学理体系と人材整備の大きな遅れのために十分な対応がなされていないというのが現状です。このような問題を解決していくためには、都市管理戦略や都市政策策定などの次元を含む総合的な学問に基づいた教育が必要です。人間安全保障工学分野では、「都市の人間安全保障工学」、すなわち、「市民の生活を、ミレニアム開発目的などに代表される日々の都市生活に埋め込まれた非衛生・不健康及び大規模災害・大規模環境破壊などの脅威から解放し、各人が尊厳ある生命を快適に全うすることができる都市と都市群をデザイン・管理する技術(技法)の体系」を支えるコア領域と4つの学問領域(都市ガバナンス、都市基盤マネジメント、健康リスク管理、災害リスク管理)において、複数の領域にまたがった確実な素養を獲得し、それらを都市の人間安全保障確保に向け目的に応じて統合化し適用する能力と、その技法を深化・進展しうる能力を持った研究者及び高度な技術者を養成します。

デザイン学分野

連携プロクラム:融合コース

 21世紀を迎えて、自然環境の破壊、人工環境におけるアメニティの喪失、地域固有の文化の崩壊など、多くの複雑な問題が発生しています。これらの問題を解決し、社会の持続的発展と文化の継承・創造に貢献するためには、個々の人工物のデザインを超えて、人工物相互の関係、人工物と人間・環境との関係をデザインすることが不可欠です。デザイン学分野では、こうした社会が求める複合的問題の解決を目指して、工学研究科の各領域(機械工学・建築学)における高度な専門教育を行うとともに、問題発見・解決のためのデザイン方法論を修得し、経営学・心理学・芸術等を含む異なる領域の専門家と協働して、社会のシステムやアーキテクチャをデザインできる、突出した実践力(独創力+俯瞰力)を備えたデザイン型博士人材の育成を目指しています。デザインをプロダクトやサービスだけでなく、組織・コミュニティ・社会を対象とする多元的活動として捉え、産官学連携、国際連携のネットワークの中でリーダーシップを発揮し、人類社会が直面するデザイン問題に取り組む人材を養成します。

総合医療工学分野

連携プロクラム:融合コース

 世界の他地域に先駆けて超高齢化社会をむかえた我が国において、国民が健康を享受できる安定的な社会を実現するためには、ヒトへの負荷を最小化した先端的医療工学技術の開発がますます重要になってきています。本分野では人体解剖学、生理学、病理学などの基礎医学教育、医療・支援現場の実習や医療倫理学を課し、医学部卒業生と同等の医学・医療知識を修得する教育を行います。また、工学系と医薬学系の複数分野の教員による綿密な討論・指導を行い、生体内分子解析研究装置、分子プローブ、非・低侵襲診断機器等の開発に関わる研究を通じて、高度な問題提示能力や、問題解決能力を持つ学生を養成します。さらに、医工学に関する医療現場のニーズや医療経済学・許認可制度の知識に基づいた、機器・システムの産業化・市場の予測能力を身につけるだけでなく、企業や海外の研究機関・大学におけるインターンを通じて現場での実践力を身につけ、国際標準化の知識や卓越したコミュニケーション能力を養成します。このような充実した総合的なカリキュラムを通じて、国際社会をリードする医療工学分野の研究者・技術者を養成します。