石英ガラス内部への半永久的データ記録〜3億年保存可能なデジタルデータの記録技術を開発〜

三浦清貴工学研究科教授と下間靖彦同准教授は、日立製作所と共同で、化学的に安定で、高温や放射線にも高い耐性を持ち、耐熱衝撃性にも優れた石英ガラスに着目し、その内部に多数のビット情報を一括記録する技術および低倍率の顕微鏡で検出したデータを簡単な画像処理でデジタルデータとして読み出す恒久的な光メモリーを開発しました。

ITの発展に伴い、デジタルデータは爆発的に増えています。現在、データ保存には、ハードディスクや光ディスク等が用いられていますが、これらの寿命はせいぜい数十年程度と言われています。このため、恒久的なデータの保存においては、温度や湿度などによる記録データの経年劣化がなく、耐火・耐水性にも優れ、いつの時代にも記録データを読み出すことができるストレージ技術が要求されています。

これまでに、フェムト秒レーザーを光源として透明な材料の内部に集光照射することによって、欠陥形成や活性イオンの酸化還元による着色、構造の高密度化による屈折率変化、溶融や衝撃波発生、転位やクラック、ボイド形成等の様々な現象を発現してきました。今回、レーザー光を空間的に位相変調させて、多数のビット情報を一括記録する技術、さらに集光レンズの球面収差を補償する技術を駆使することによって、5センチ角で厚さ8ミリの石英ガラス内部にブルーレイディスク(TM)並みの記録密度となる100層のデジタルデータを記録し再生することに成功しました。

石英ガラス内部に二次元データを一括記録した層を多層化
掲載情報
朝日新聞(10月21日35面)、日本経済新聞(10月21日14面)、日経産業新聞(10月21日8面)、日刊工業新聞(10月21日23面)、毎日新聞(10月22日1面)に掲載されました。

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