京都大学機械系同窓会・京機会の紹介

京機会代表幹事 吉村 允孝

吉村 允孝京都大学機械系同窓会である京都大学機械系工学会(略称:京機会)について紹介する。事務局は、京都大学大学院工学研究科機械系工学専攻に置いている。会員は、平成18年度から機械系に所属する現役学生(2回生以上)も加わり、機械系卒業生、機械系教員、現役学生で構成され、現在、約6千人の連絡可能な会員を有する。

京機会は、会員相互の親睦を図り、母体となる専攻の研究の発展に資することを目的としている。同窓会は、単に母校を懐かしむというだけでなく、会員間の連携を深め、さらに大学の法人化の動きとも関係して教員、学生と一体となった大学の運営システムの補助機能として、ある種の役割が期待されるようになってきている。

組織は、本部と5つの支部(関西支部、関東支部、中部支部、中国・四国支部、九州支部)ならびに現役学生が活動する学生会(通称、スマイル)で構成されている。役員は、会長(現在、中川 哲氏(昭和38年卒業))、副会長、監事、代表幹事、支部長、各支部幹事ならびに、会計、広報、名簿などを担当する幹事で構成されている。支部長は、企業側の会員が主として担当し、活動には大学側の教員も幹事として参加している。また大学側では、各幹事の用務の引継ぎをスムーズにするために、それぞれの幹事をサポートする副幹事制を設けている。

幹事会は年5回程度開催し、会長、支部長、大学側幹事、支部幹事、学生会役員ならびに種々の役割をもつ幹事が集まり、活動計画案の審議を行う。その活動方針、計画の案を作成し練るために、幹事会メンバーから7名ほどのものが集まる運営委員会(年5回程度開催)を設置しており、この運営委員会で得られた案を幹事会で諮ることになる。

各卒業年度の同窓会活動のとりまとめ役として、各卒業年度から1名の学年評議員を選出し、各学年内の連絡やイベントの中心となって、その学年の同窓活動を取り纏める用務を担っている。

年間会費は、一般会員は三千円、学生会員は千円とし、会費が京機会の運営の財源になっている。また永年会員という制度を設け、60歳以上の会員は、永年会員費6万円を納入することにより、その後の会費の納入の必要はなく、生涯、京機会会員としてのサービスが受けられる。

京機会活動の一部を簡単に紹介する。

京機会大会・総会

春と秋、年2回の大会と総会を開催している。春季大会は、従来、関西支部内の企業で開催していた(平成18年度は住友電気工業、平成19年度は川崎重工業)が、平成20年度より、各支部持ち回りとすることになり、平成20年度は、関東支部主催で三菱重工業での開催を予定している。秋季大会は、京都大学構内において開催(今年度は、11月10日、京都大学時計台百周年記念ホールで講演会と総会を開催し、国際交流ホールで懇親会を開催)している。春季大会では、開催企業の見学会と2件程度の技術講演をしていただき、秋季大会では、大学の教員と一般会員からの講演がある。また、総会では、運営報告と審議、学生会報告を行っている。それぞれの大会では、親睦を深めるために、懇親会を開催している。

図1に平成18年度の秋季大会総会と講演会の光景を示している。ここでは、瀧本正民氏(昭和43年卒業、トヨタ自動車(株)副社長)の「きんと雲への挑戦(サステナブルモビリティの実現に向けて)」と河田耕一氏(昭和37年卒業、高知工科大学客員教授)による「技術史としての鉄道」と題した講演があった。

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図1 秋季大会総会と講演会の風景

図2は、平成19年度春季大会での京機会会長の挨拶と活動報告の光景を示す。図3は、川崎重工業の車両製造工場見学時の写真、図4は、技術講演会の様子の写真である。

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図2 総会での会長の挨拶と活動報告

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図3 車両製造工場見学会

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図4 技術講演会

支部活動

各支部では、地域の異業種交流会、見学会、学生会との交流会などの活動と年1回の支部総会を開催している。

関西支部では、多くの会を開催している。異業種交流会は特に活発に行われており、図5はその時の様子を写真にとったものである。基本的には、会員仲間による講演と懇親会がセットになっており、知識を豊かにするとともに、同窓ならではの人的ネットワークの形成を図っている。

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図5 異業種交流会

さらに、産学懇話会、MOT 研究会(京機サロン)、京機九日会などが定期的に開催されている。また京機会会員のキャリアを社会に活かす活動も展開されようとしている。

関東支部では、教員を講師に招いて専門分野の話を聞くリカレント教育講座、京都大学21世紀COE社会連携セミナーなどを開催している。図6は、関東支部総会の風景と記念撮影の光景である。

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図6 総会開催風景と総会終了後の記念撮影

中部支部において中部電力火力発電所での技術交流会を開催し、ガスタービンを見学した時の様子を図7に示す。

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図7 技術交流会におけるガスタービン見学

中国・四国支部での総会時における中国電力柳井火力発電所見学時の写真を、図8に示す。

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図8 中国電力火力発電所見学

九州支部での総会時における新日本製鉄(株)八幡製鐵所見学会での光景を、図9に示す。

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図9 新日本製鉄(株)八幡製鐡所見学風景

学生会の活動

学生と先輩との交流会を秋季大会の日の大会前に開催している。図10はその交流会での様子の写真である。この交流会は学生会が企画して、京都大学機械系教室を卒業し現在様々な分野で活躍している方々に母校に来ていただき、学生と会って話をしたり学生の質問に答えたりして頂くことを目的としている。平成18 年度は、118 社から先輩に参加いただき、約300人の学生が参加した。卒業生と学生双方でたいへん好評であった。

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さらに、機械系学生が将来進むと考えられる業界についての知識を得るための企画として工場見学、修士課程をどうすごすかの修士1回生のための修士2回生の講演会、インターンシップを経験した学生からのインターンシップ説明会などを開催している。また学生会のメンバーが熱心に取り組んでいる、全日本学生フォーミュラ大会への参加活動なども応援している。

京機会ニュースの発送

春号と秋号の年2回、A4 版16ページにわたる京機会活動の紹介、開催案内、各学年の同窓会の記録などを掲載する新聞を、京機会会員に郵送している。

京機短信の発信

月に2回、京機会ホームページに会員からの投稿記事を発信している。ここでは、京機会会員のオピニオンの紹介、京機会の現状報告・案内、京機会会員のいる会社や大学・公官庁の情報発信など、新鮮な情報の発信を目的としている。登録者には、E-mail 発信もしている。

名簿の発行

会員相互のコミュニケーションの向上に役立つことを期待して、3年に一度、同窓会名簿を発行している。

おわりに

ここで紹介したように、京機会は、現在、活発な活動を展開している。京機会がさらなる活発な活動を展開するために、現在、会員の積極的な参加を促すことと会費の納入率を高め活動の財源の確保の努力を行っている。平成18年度より会員になった現役学生の京機会に対する期待は大変に高いものがある。高い会費納入率や学生会による熱心な活動を見ると、将来、京機会は、さらに発展するものと期待している。今後、本部、支部、学生会などでの種々の活動が絡みあい。新たな活動が展開されることが期待される。すなわち、同窓会のベースにある同期会や地域支部活動が有機的につながり、これに教室の研究・教育活動、学生会の活動が絡み合っていけば、京機会会員のすべてが参画する、新しい同窓会活動が展開されるはずである。日本の発展は、これからも、モノづくりが基盤となるはずであるが、そのモノづくりを支える人材の育成や、モノづくり社会の横のつながりを推進する上でも、京機会は大きな役割を担っていると考える。より詳しい活動については、下記のWWW サイトを参照されたい。

京機会HP(http://www.keikikai.jp/

(教授 機械工学群・航空宇宙工学専攻)