実社会の理解を支援するための関係マイニング技術の研究開発

馬 強

馬 強私は2004年3月に情報学研究科にて博士号を取得し、(独)情報通信研究機構、日本電気株式会社を経て、2007年9月に情報学研究科社会情報学専攻分散情報システム分野の助教に着任し、2010年8月より同専攻同分野の准教授を務めております。Web検索・マイニングやマルチメディア情報システムについて研究開発を行っています。

インターネット上の情報は、現実社会の一種の射影であり、私たちの社会活動には多大な影響を及ぼしています。国家、企業、そして、個人の社会活動がインターネット上の情報として記録・公開されるため、インターネットは知の創出のための最重要な生の情報源となりつつあります。

実社会の理解を支援するための関係マイニング技術の研究開発Vannevar Bush 博士がMemex 構想で指摘されたように、知の活動における「関係」の役割がきわめて重要であります。インターネット上の情報を知の創出に利活用するためには、そこに射影されているエンティティ(人物・組織・地域、etc.)や社会現象・事象の関係などを分析・整理して体系化することが極めて重要であります。そこで、私の研究グループでは、実社会理解や意思決定などの社会活動を支援するための基盤技術の確立を目指して、インターネット上の情報から、社会活動の主人公である人物・組織・地域などのエンティティ間の関係、そして社会現象(事象)の関係をマイニングして体系化する技術について研究開発を行っています。

● エンティティ間の利害関係マイニング:社会現象を正しく理解するためには、当事者間の利害関係を明らかにすることが重要である。そのため、インターネット上の情報(特に、ニュース記事や映像ニュース、etc.)から事象の当事者および当事者間の相互関係(利害関係)を発見する手法について、テキストマイニング技術とマルチメディア処理技術を駆動して研究開発しています。

● 事象間の因果関係マイニングと体系化:因果関係の整理は、社会現象の理解と意思決定の支援には重要であります。社会現象間の因果関係が複雑に絡み合い、しかも時間の経過と共に変動することが多くあります。そこで、社会現象の時系列性を考慮して、Web 情報からの因果関係抽出手法とそれを用いたネットワークの増分構築(体系化)手法について研究開発しています。

(准教授・社会情報学専攻)