総合建設技術室

矢野 隆夫

工学研究科技術部は総合建設技術室、設計・工作技術室、分析・物質科学技術室、情報技術室および環境・安全・衛生技術室から構成されており、それらの技術室は平成19 年4月に技術部の改組と共に発足しました。総合建設技術室は室名が示すように“建設”にかかわる4専攻(社会基盤工学専攻、都市社会工学専攻、都市環境工学専攻および建築学専攻)に所属している技術職員で構成されています。現在、同室には図1に示すように9名が所属しています。その内訳は社会基盤工学専攻に3名、都市社会工学専攻に2名、都市環境工学専攻に2名および建築学専攻に2名の技術職員が配置されており、社会基盤工学専攻と都市社会工学専攻に所属する技術職員はいわゆる土木系、都市環境工学専攻は環境系および建築学専攻は建築系に属する技術職員です。これらの技術職員が各専攻、各系において専門的な教育・研究支援を行っています。

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土木系の研究室は取り扱う材料で“系”に分類されており、構造系、材料系、計画系、水工系および地盤系の5つに分かれています。構造系の研究室では主に鋼構造物および複合構造物に関する種々の研究を、材料系の研究室では土木構造物において最も広く用いられている材料であるコンクリートに関する研究を行っています。計画系では都市計画、交通計画に関する研究を行っており、土木分野において重要な測量学も含まれています。水工系の研究室では水、すなわち、水理学や水文学に関する研究を行っており、地盤系では粘土から硬岩(花崗岩など)まで幅広く地盤材料に関する研究を行っています。こ
の5つの系を5名の技術職員がそれぞれ担当しており、扱う材料が違うことから高い専門性が要求されています。

環境系の研究室は文字通り都市の環境問題、いわゆる、廃棄物の再資源化(リサイクル)などの最適な環境都市代謝システムなどを研究しています。また、大気、水質汚染などに関する研究が行われており、その測定・分析方法、保全技術、処理技術、汚濁物負荷低減と資源循環回収技術などについても研究されています。これらの教育・研究支援として、現在2名の技術職員が従事しています。

建築系の研究室も取り扱う研究テーマによって、計画系、環境系および構造系に分かれており、現在、構造系として2名の技術職員が従事しています。土木系の構造系と違うところは、建築系では木造建築物も研究の対象に含まれることです。

多種多様な材料および研究テーマを扱う9名の技術職員の教育・研究支援業務をまとめると次のようになります。

    1. 各種実験装置の開発および計測・制御システムの開発と教員との共同による実験的研究
    2. 各種実験装置、分析装置の維持管理
    3. 学部学生の卒業論文および大学院生の修士論文、博士論文の実験的研究における教員との共同指導
    4. 上記研究成果における報告書作成、学会発表、論文執筆
    5. 学部学生実験(3、4回生対象)における教員との共同指導
    6. 労働安全衛生法に関する業務従事

総合建設技術室では室独自の取り組みとして、平成14 年4月から図2に示すように2学科長、4専攻長と各系の関連する教員と“地球・建築系技術委員会”を設置して技術職員のスキルアップなどを計っています。具体的には、技術室の予算、技術職員の新規採用の要望、技術職員のあり方およびスキルアップなどを議論する場を設けています。スキルアップに関してはこの委員会で議論して技術室の今後の展望を策定しました。以下にその展望を紹介してこの拙文を終えたいと思います。

    1. 4専攻の共通業務や研究支援を円滑に遂行するため、業務に必要な資格、免許の取得を推進する。
    2.  1以外の共通業務の遂行に関係ない資格、免許(技術士、建築士など)の取得を目指す。
    3.  科学研究費補助金(奨励研究)の獲得を目指す。
    4.  実験装置や計測手法などの開発を行っていることから、それらの技術に関する特許の取得を目指す。
    5. 近年、技術職員は高学歴化(本技術室の場合、修士(工学):3名、工学士、理学士:6名)しており、また、通常の業務と共に研究的な業務を精力的に行っている技術職員も見られる事から、関連教員との論文の執筆を推進する。さらに、他の技術室には博士号を取得されている人がいる事から、学位の収得を目指す。

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(総合建設技術室 技術専門員 都市社会工学専攻)