学生時代と現在

鎌田 啓吾

卒業生 2015 年に電気工学専攻生体機能工学分野の博士課程を修了し、現在はオムロン株式会社でヘルスケア向けの技術開発を行っている。
 2008 年に工業高等専門学校を卒業し、電気電子工学科の3 回生に編入した。3 回生での主な記憶は編入生特有の単位不足を解消するための過密スケジュールだった。奈良の実家から吉田キャンパスに通っていたこともあり、既に1、2 回生で出来上がっているコミュニティに入ることへのやり辛さなど感じる暇もないくらいの忙しさだった。
 進級目途が付いた頃には研究室を選ぶシーズンに入った。電気系専攻の中でも生体機能工学は特殊な分野ではあったが、研究内容の面白さにひかれ、研究室を選択した。研究テーマは生体計測用のセンサ開発であり、センシング原理の部分から人体計測まで幅広く携わることができた。
 また、研究室配属と同時に博士課程への進学を決める連携プログラムも選択した。3 回生入学時点から多少検討していたとはいえ、怒涛の勢いで今後6年間の生き方を決めたという記憶がある。幸いにも所属研究室には博士課程進学者が多く、色々と参考にできそうだったことに加え、もともと院試勉強や就活に忙殺されることなく研究してみたいという想いもあったことから、博士課程への進学を決意した。
 その当時、進路や研究内容について迷いや後悔が無かったわけではないが、今振り返ってみると、博士進学の選択は正解だったと考える。配属から6 年間じっくりかつ自分がやりたいように研究することができたし、博士課程1 年目では短期研修で海外経験を積むこともできた。企業との協働研究の一環であったことから学外の人とも協力して研究を進めることもできた。
 一番大きかったことは研究室のメンバーや先生方にも恵まれ、楽しい研究室生活を送ることができたことである。麻雀やゲーム、たまに旅行に行くなど学生同士の仲も良く、オフの日にも遊んでくれて、今でも親交のある先生にも出会うことができた。
 企業への就職においては、博士ということで多少就活に難しさも感じたが、自分の研究内容に固執せず、研究室配属から6 年の間に得た「研究経験」をアピールすることで、無事現在の会社に就職することができた。また、結果論ではあるが、現在は生体医工学寄りの職務に就くことができており、出身研究室の先生にご意見を伺うこともある。また、博士ということもあり入社2 年目から一つの開発テーマのリーダを任されている。非常に難しい開発内容ではあるが、チャレンジングでやりがいのある会社生活を送ることができている。今後も弊社の理念である企業の社会への公器性を実現すべく、大学での経験を活かしつつ、社会に役立つ技術を開発していきたい。
 最後になりましたが、小林先生をはじめ在学中・卒業後とお世話になりました皆様に感謝し御礼申し上げます。

(オムロン株式会社 技術・知財本部センシング研究開発センタ 物性センシング研究室)