工学研究科桂RI施設の紹介

宮嶋 直樹

技術 工学研究科RI 施設は、桂キャンパスCクラスターにあります。京都大学桂キャンパスへは国道9 号線の樫原盆山交差点から坂道を登って行きます。大きく曲がった坂道をしばらく進むとA クラスターの建物たちが見え始めます。さらに進むとC クラスターがあり、初めに見える建物がC3 クラスターd 棟で、その建物に工学研究科RI 施設があります。しかしRI 施設を外から見ることはできません。この建物の地下二階フロアにあるからです。このフロアは多くがRI に関連する施設となっています。
 この建物は平成25 年に吉田キャンパスから移転してきた物理系に所属する専攻の研究室等が入居しています。RI 施設もそれと同時期に移転してきました。吉田キャンパスの旧RI 研究実験棟で実施されていた実験が継続して出来るように考えられて建設されました。
 新施設には、いくつか特徴的な点があります。特に大きな特徴は、京都大学では初となる下限数量以下の非密封核種を使用できる場所を設置したことです。この区域を、通常の管理区域と区別して「使用区域」と呼んでいます。使用区域の利点は、法令上、個人線量測定、空間線量測定、排気中濃度測定、特別な排気設備がそれぞれ不要であり、測定項目が大幅に減少し、管理が簡便になることです。また、特別な空調設備が不要であるため省エネにも大きな効果があります。ですが、使用区域もアイソトープを使用する区域に変わりはないため、入室は基本的に本研究科の放射性同位元素等従事者の登録を受けた者しか許可しておらず、当施設の管理体制も自主的に管理区域と同等としています。使用区域で使用できる核種は22 種あります。使用区域で使用されるアイソトープの数量管理は従来の管理区域とは異なる管理方法を実施しなければなりません。そのような法令に従って、使用区域へのアイソトープの持込、持出について、工夫した記録様式を利用して常に把握できるようにしています。管理区域と使用区域は完全に独立した入退室管理が行われており、アイソトープや廃棄物の持込および持出は、管理区域の汚染検査室と使用区域の入退室管理室の間のパスボックスで行われるようになっています。排水設備に関しても、それぞれ独立した設備となっています。
 RI 施設は工学研究科共同の設備であり、様々な専攻のみなさまが利用されています。桂キャンパスに移転してきてから新規に利用されるようになった研究室もありますし、それ以降も利用に関する問い合わせが続いています。新RI 施設が運用開始された以降の管理区域および使用区域へののべ立入人数は学生たちの研究活動に応じて時期による波が多少あるものの、ほぼ年間を通じて定常的に利用があり、また年々次第に増加傾向にあるため活発な実験研究活動が行われています。

(技術専門職員)