佐々木 克典

略歴

2007年3月 京都大学工学部地球工学科 卒業
2009年3月 京都大学大学院工学研究科修士課程都市環境工学専攻 修了
2011年9月 京都大学大学院工学研究科博士後期課程都市環境工学専攻 修了
2011年10月 住友化学株式会社入社

メッセージ

佐々木 克典当初はアカデミアとしての就職を意図して博士に進学しましたが、ビジネスに直接的に活かされる産業界での研究活動に興味を持ち民間企業に就職しました。化学メーカーに入社し、6年半の安全性評価研究を経て、現在はライフサイエンス領域において、アカデミアやベンチャー企業などの特徴的な技術を探索し、社内技術との融合により新規事業を企画することを業務内容としています。

民間企業から見た場合の博士取得者の意義としては、専門がマッチングした場合の即戦力としての位置付けや、一般論として(特に海外研究者との議論において)一人前の研究者扱いは博士が前提、ということも勿論ありますが、より重要なのは社内には無い視野・価値観をもたらすことだと私は考えています。自社技術を起点とした連続的な研究開発であれば、直接的な強みは企業側にあり、入社前の研究経験がクリティカルにはならないと思います。一方で、真に破壊的な、思いもよらないような研究開発を行うためには、既定路線とは全く異なる発想の融合が必要不可欠であり、その点で、企業とは異なる風土を持つ大学での長期的な研究経験を有する博士取得者が大きな意味を持つと考えています。

従って、博士への進学も視野に入れておられる学生さんに期待することとしては、個別の研究テーマに取り組んで専門性を高めることは勿論ですが、折角の大学の環境、つまり、自身の意志で自由度高く活動ができ、また、一線級の先生が多数集まっておられるという環境を活かし、可能性を限定し過ぎずに様々な研究活動や課外活動に触れてユニークな価値観を形成していただければと思います。

 2019年5月掲載)