竹入 史隆

略歴

2011年3月 京都大学工学部工業化学科 卒業
2013年3月 京都大学大学院工学研究科修士課程物質エネルギー化学専攻 修了
2013年4月 信越化学工業株式会社 入社(2014年7月退職)
2017年11月 京都大学大学院工学研究科博士後期課程物質エネルギー化学専攻 修了
2018年4月 分子科学研究所 博士研究員、同年11月より助教

メッセージ

竹入 史隆

私は物質エネルギー化学専攻で修士号を取得後に民間企業に入社し、その後に退社して同専攻の博士課程に進学しました。学位取得後は分子科学研究所(愛知県岡崎市)で、エネルギー材料の基礎研究に従事しています。

アカデミアへの憧れは学部、修士課程の頃にもありました。まっすぐ博士課程に進学しなかったのは、M1の終わりまでの2年間に成果が出なくて心が折れたからです。子供じみていて恥ずかしいのですが、事実なので仕方ありません。同期や後輩と比べても目を引く結果がない状態で進学する勇気がありませんでした。博士課程の先輩は皆、当然のように一流誌に成果を出しており、自分だけ「ドクターなのに大したことない人」になるのが怖かったです。より正確には、そう周りに思われるのが嫌でした。今思えば本当にくだらない理由です。成果は出ないときは出ないですし、それ以上に私の成果の多寡を気にする人なんてどこにもいません。

出戻りした博士課程も順風満帆とはいきませんでしたが、教授をはじめ周りの方々の親身なサポートのおかげで、なんとか学位を取得することができました。M1の終わりまでに溜め込んでいた、どうしようもないと思っていたデータも大きくはないけれどちゃんと論文として世に出すことができました。思えば研究を始めたばかりの頃は必要以上に高い理想を掲げて、空回りしていた気がします。今でもホームラン級の成果を目指していますが、一方で、小さな発見でも愛情を持って論文にまとめるのは、それはそれで楽しいものです。

すべての人に博士課程を勧める気はありません。ただ、本心では研究を続けたいのに、研究者になりたいのに、「成果がない」なんてつまらない理由で別の道を選ぶのはやめておいた方が良いです。将来に対する不安は大なり小なりあると思いますが、どれだけ悩んでも正解は見つかりません。最後は現時点での能力や結果なんかは全部棚に上げて、もっと研究したいかどうかの一点で決めればOKです。きっとなんとかなります。共にがんばりましょう!

 2021年4月掲載)