第11回全日本学生フォーミュラ大会にて「京都大学フォーミュラプロジェクトKART」チームが総合優勝しました!

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去る9月3日から7日までの5日間にわたり静岡県の小笠山運動公園にて開催された第11回全日本学生フォーミュラ大会において、海外の大学も含めた参加全77チーム中、「京都大学フォーミュラプロジェクトKART」チームが見事総合優勝しました。

学生フォーミュラは、学生達がマネージメント・デザイン・製作・走行を行うオリジナルのフォーミュラカーです。マシンの速さだけでなく、製造にかかるコストや燃費、実際に販売するための企画力なども採点される競技です。初めはアメリカで1981年に発足し、日本では2003年に第1回全日本大会が開催され、今年で11回目の大会になります。「KART」チームは第2回大会から継続して参戦しており、今年でチーム結成10周年の節目を迎えました。現在メンバーは13名と少数精鋭のチームです。

<大会参戦レビュー>

1日目:技術車検
        綿密な対策が実を結び、軽微な修正を行うのみで合格することができました。

2日目:静的審査
        コスト審査から始まりました。今年度はマシンの製造コストの増加の影響もあり、13位でした。午後はデザイン審査が行われ、堅実な車両設計開発手法をアピールしました。3年連続デザインファイナル進出が決定しましたが、堅実なあまり新規性に乏しいとの指摘もあり最終的に4位となりました。プレゼンテーション審査は、昨年の事業モデルをさらに発展させた発表を行い、4位でした。静的審査では上位と差を開けられる結果となりましたが、動的競技での逆転をメンバー全員で誓いました。

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3日目:動的競技
       天候の変化が激しく路面コンディションと時計を見ながらの1st ドライバーのアタックが始まりました。アクセラレーション(加速性)とスキッドパッド(旋回性)はとにかくタイムを残すという方針で行い、2nd ドライバーは残りの時間の中でポテンシャル最大でアタックを行いました。スキッドパッドは5/100秒差で惜しくも2位を獲得し、不利(エンジンが単気筒の為4気筒には劣る)なアクセラレーションでも9位を獲得しました。午後のオートクロス(タイムトライアル)では、1stドライバーがタイヤを使い切れずタイムが伸びませんでしたが、2ndドライバーがきっちりと挽回し、2位の好タイムをたたき出しました。

4日目&最終日:

   残りの競技はエンデュランス(耐久走行)と燃費の2種目を2日間で競い合います。我がチームは最終日、5日目の最終組での走行となりました。4日目は入念な調整を行いました。最終日の最終組でのファイナルアタック、極度の緊張の中、今年度の車両(KZ-RR11)は最後までその強さを見せつけ、両ドライバーも安定したタイムを刻み続け、耐久走行でついに1位を獲得しました。静的審査の得点こそ伸びませんでしたが、動的競技で圧倒的な得点を稼ぎ、KARTは創設10年目にして悲願の総合優勝を達成しました。総合2位との差はわずか3点差の接戦でした。

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<リザルト>            <受賞>   

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<第11回全日本学生フォーミュラ大会 結果>

第11回全日本学生フォーミュラ大会画像08総合優勝 京都大学 京都大学フォーミュラプロジェクトKART

   2位  大阪大学 大阪大学フォーミュラレーシングクラブ

   3位  同志社大学 同志社大学フォーミュラプロジェクト

   4位  名古屋大学 名古屋大学フォーミュラチームFEM

   5位   京都工芸繊維大学 グランデルフィーノ

   6位   横浜国立大学 横浜国立大学フォーミュラプロジェクト

 

10年目にしてようやく、目標の総合優勝を果たすことができました。このような結果に至ったのも偏に応援して頂いたスポンサー・サポーターの皆様のおかげであります。引き続き精進して、次は日本大会連覇を目指してまいりますので、今後とも「KART」にご支援・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

<2013年度 大会参加大学>

  • 京都工芸繊維大学 グランデルフィーノ 日本
  • 大阪大学 大阪大学フォーミュラレーシングクラブ 日本
  • 同志社大学 同志社大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 名古屋大学 名古屋大学フォーミュラチームFEM 日本
  • 茨城大学 Ibaraki University Racing 日本
  • 名城大学 名城大学理工学部自動車技術研究会 日本
  • 千葉大学 千葉大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 静岡理工科大学 静岡理工科大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 日本自動車大学校 Formula Factory NATS 日本
  • 神戸大学 神戸大学学生フォーミュラチーム 日本
  • ホンダ テクニカル カレッジ 関東 H-TEC Racing Team 日本
  • 広島大学 フェニックスレーシング 日本
  • 東京都市大学 Mi-Tech Racing 日本
  • 北海道大学 北海道大学フォーミュラチーム 日本
  • 大阪工業大学 O.I.T Racing Team REGALIA 日本
  • 宇都宮大学 宇都宮大学フォーミュラデザイナーズ 日本
  • 東京理科大学 TUS Formula Racing 日本
  • 東海大学 Tokai Formula Club 日本
  • 山梨大学 山梨大学学生フォーミュラ部 日本
  • 工学院大学 工学院レーシングチーム 日本
  • 横浜国立大学 横浜国立大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 近畿大学 近畿大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 京都大学 京都大学フォーミュラプロジェクトKART 日本
  • 大阪市立大学 大阪市立大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 日本大学理工学部 円陣会 日本
  • 久留米工業大学 久留米工業大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 上智大学 ソフィアレーシング 日本
  • ものつくり大学 MONO Racing 日本
  • Tongji University TJU Racing Team 中国
  • 豊橋技術科学大学 自動車研究部 日本
  • 静岡大学 Shizuoka University Motors 日本
  • Harbin Institute of Technology at Weihai HRT 中国
  • 名古屋工業大学 N.I.T Formula Project 日本
  • 九州工業大学 九州工業大学 学生フォーミュラチーム 日本
  • 大阪産業大学 OSURacing 日本
  • 金沢工業大学 夢考房フォーミュラカープロジェクト 日本
  • 岐阜大学 岐阜大学フォーミュラJSAEプロジェクトGFR 日本
  • 慶應義塾大学 Keio-Formula.Com 日本
  • ホンダ テクニカル カレッジ 関西 DDR 日本
  • 芝浦工業大学 芝浦工業大学FormulaRacing 日本
  • 新潟大学 NEXT. Formula Project 日本
  • 岡山大学 岡山大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 成蹊大学 SEIKEI Formula Team 日本
  • 広島工業大学 HIT Formula project 日本
  • 東京農工大学 TUAT Formula 日本
  • 福井大学 福井大学フォーミュラカー製作プロジェクト 日本
  • 東京電機大学 東京電機大学 Formula SAE Project 日本
  • 崇城大学 Sojo Project F 日本
  • 山口東京理科大学 TUSY Formula 日本
  • Thai-Nichi Institute of Technology CarreraZ Racing タイ
  • 金沢大学 金沢大学フォーミュラ研究会 日本
  • Universitas Gadjah Mada BIMASAKTI インドネシア
  • 鳥取大学 鳥取大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 愛知工業大学 AIT学生フォーミュラ同好会 日本
  • 立命館大学 Ritsumei Racing 日本
  • トヨタ名古屋自動車大学校 TTCN-F 日本
  • 摂南大学 S-Racing 日本
  • 明星大学 TEAM STAR 2013 日本
  • 日本大学生産工学部 CIT Racing Team 日本
  • 埼玉工業大学 埼玉工業大学学生フォーミュラプロジェクト 日本
  • 青山学院大学 青山学院大学学生フォーミュラプロジェクト 日本
  • 国士舘大学 国士舘レーシング 日本
  • 岡山理科大学 岡山理科大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 日本工業大学 Formula Friends of N.I.T. 日本
  • 東京大学 東京大学フォーミュラファクトリー 日本
  • 北九州市立大学 KF-works 日本
  • 富山大学 富山大学フォーミュラプロジェクト 日本
  • 早稲田大学 早稲田フォーミュラプロジェクト 日本
  • 静岡工科自動車大学校 SAT'S Formula 日本
  • King Mongkut's University of Technology Thonburi BLACKPEARL 5 ETERNITY タイ
  • King Mongkut's Institute of Technology Ladkrabang Initial KMITL タイ
  • VIT University Chennai Team Zuura インド
  • 東京工科自動車大学校世田谷校 東京工科世田谷フォーミュラチーム 日本
  • Fr. Conceicao Rodrigues College Of Engineering Team Pravega インド
  •  Institut Teknologi Sepuluh Nopember Sapuangin Speed Team インドネシア

 

学生フォーミュラ大会の沿革
 始まりはアメリカ。1981年でした。1981年とは自動車生産台数で日本がアメリカを抜いた翌年です。一連のものづくりの衰退を危惧したアメリカはこの大会を始めました。学生達が1台のフォーミュラスタイルのレーシングカーを作り、競うというものです。最初は4台。翌年は9台となり、そして2005年は160台が参加し、東西に分かれて2大会が行われるほどの一大イベントとなりました。現在ではアメリカに続き、イギリス(1998~)・オーストラリア(2000~)・日本(2003~)・イタリア・ブラジル・ドイツと開催国が広がり、国際的な大会となりつつあります。

全日本学生フォーミュラ大会
学生が自分たちで構想・設計・製作する車両による競技会
全日本学生フォーミュラ大会は、我が国の自動車産業の発展に寄与するための、学生の「ものづくり育成の場」です。学生の自主的なものづくりの総合能力を養成し、将来の自動車産業を担う人材を育てるための公益活動と位置づけ、2003年にスタートしました。

設立意義と背景
少子化による学生の減少に加え、近年の若者の理科離れといった深刻な状況は、日本の自動車産業にとって将来の国際競争力・企業競争力の低下、優秀な技術者の人材不足につながりかねません。また、最近の工学系大学では、実習や設計・製図などのカリキュラムが減少しており、欧米に比べ、ものづくりの機会が不足しています。
一方、米国では「Formula SAE®」を開催するなど、学生が実際のものづくりを通して自分たちの能力や知識を、発揮できる場を提供されており、産学官の協力のもと、人材育成の基盤づくりが根付いています。しかし日本では、全国的なものづくりコンテストとして、ソーラーカー大会やロボットコンテストがありますが、自動車技術分野で活躍を目指す学生にとっては、習得した専門技術を発揮しうる設計コンテストがない状況です。
このような状況をふまえ、JSAEでは、米国「Formula SAE®」のルールに準拠し、全日本学生フォーミュラ大会を開催する運びとなりました。学生たちが実際にものに接し、ものを創っていくことによって、技術の理解を深め、実践的な能力を養い、より高いレベルに意欲的に取り組んでいく。ものづくりの本質やそのプロセスを学ぶとともにチーム活動やものづくりの厳しさ、面白さ、喜びを実感できる、そんな環境づくりを通じて、創造性に満ちた技術者の育成を目指しています。

 審査概要
 本審査は、フォーミュラスタイルの小型レーシングカーを、学生がチームを組んで企画・設計・製作したものを持ち寄り、大会では車の走行性能だけでなく、車両コンセプト・設計・コスト審査など、ものづくりの総合力を競うものです。
  マシンの製作にあたって、機械・電気に限らず幅広い実践的な知識を習得するとともに、性能向上・原価低減・商品性向上などにチャレンジします。また、昨今の若手技術者や学生に求められている『自ら問題を発見し、解決していく能力の向上』が期待できるとともに、ものづくりの素晴らしさ・おもしろさを実感し、さらに、メンバー間のチームワークやリーダーシップの発揮が不可欠であり、学生たちがものづくりを通して貴重な経験を得ることになります。 

審査項目

「車検」 
車両の安全・設計要件の適合、ドライバーの5秒以内脱出、ブレーキ試験(4輪ロック)、騒音試験(所定の条件で排気音110dB以下)、チルトテーブル試験(車両45度傾斜で燃料漏れ無し。ドライバー乗車し車両60度傾斜で転覆しない)

静的審査

「コスト」
  予算とコストは、生産活動を行うにあたって考慮しなければならない重要な要素であることを参加者に学ばせることが狙い。車両を見ながら事前に提出したコストレポートのコスト精度、チームによる製造度合等を確認し、レポートのコストと車両との適合を審査する。一般に購入品目となる2項目について、部品製造プロセスなどの口頭試問を行い、それらの知識・理解度を評価する。 

「プレゼンテーション」
  学生のプレゼンテーション能力を評価することが狙い。プレゼンテーションは、『審査のコンセプトに沿い、製造会社の役員に設計上の優れていることを確信させる』という仮想のシチュエーションのもとで行う。


  「設計」」
  事前に提出した設計資料と車両をもとに、どのような技術を採用し、どのような工夫をしているか、またその採用した技術が市場性のある妥当なものかを評価する。具体的には、車体および構成部品の設計の適切さ、革新性、加工性、補修性、組立性などについて口頭試問する。

 

動的審査

「アクセラレーション」
  0-75m加速。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行し、タイムを競う。

「スキッドパッド」
  8の字コースによるコーナリング性能評価。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行し、タイムを競う。

「オートクロス」
  直線・ターン・スラローム・シケインなどによる約800mのコースを2周走行する。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行し、タイムを競う。エンデュランスは、このオートクロスの早いチーム順に走行する。

「エンデュランス」
  直線・ターン・スラローム・シケインなどによる周回路を約22km走行する。走行時間によって車の全体性能と信頼性を評価する。

「燃費」
  耐久走行時の燃料消費量で評価する。

以上の項目別に審査し、静的・動的の総合得点により順位を決定する。

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