授業科目名 : 量子論電子工学

科目コード 10C825
配当学年 修士課程
開講年度・開講期 前期
曜時限 火曜3時限
講義室 A1-001
単位数 2
履修者制限
授業形態 講義
使用言語 日本語
担当教員 所属・職名・氏名 電子工学専攻 准教授 掛谷一弘

授業の概要・目的

量子力学の基礎的理解をもとに、原子1個と電子1個の水素原子からはじめて、原子2個電子1個の水素分子イオン、原子2個電子2個の水素分子、と電子を1個からつぎつぎに個数を増やしていった時の電子状態の計算法を講述する。複数個の原子からなる分子モデルまでを講述する。多電子系の場合の基本的な取り扱い方を理解するため、電子の受ける相互作用として、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用、を考える。併行してこれらの計算に必要な近似計算法を講述する。

成績評価の方法・観点及び達成度

試験

到達目標

量子力学の基本的な理解をもとに、簡単な問題に対する近似計算ができる程度の知識と考え方を修得する。また、量子論を前提とする固体電子工学などの専門書を読みこなすだけの学力を修得する。

授業計画と内容

項目 回数 内容説明
量子力学の復習と補習 1 学部で学習した量子力学の復習とこれから学習するための表記法に関する補修を行う。
近似法 2 摂動法、縮退している場合の摂動法、時間に依存する摂動法、変分法について、演習問題を解きながら学習する。ここで学習した近似法がその後の講義内容に関する計算の基礎となる。
角運動量と合成 2 電子準位を理解するために必要な角運動量とその合成を講述する。
スピン軌道相互作用 1 多電子原子の電子準位や固体中の電子準位の詳細を理解するにはスピン軌道相互作用の理解が必須である。ここではスピン軌道相互作用の由来と記述を講述し、定量的な取り扱い方法を説明する。摂動法による計算と対角法による計算を説明する。
多重項 1 多電子原子の電子準位について講述する。特に、微細構造の由来を明らかにし、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用によって電子準位が分裂することとその大きさ、分裂数について理解する。また、こうした多電子原子の基底状態に関する経験的なフントの法則について講述する。
ゼーマン効果 2 磁場中の電子準位のシフトあるいはゼーマン分裂について、摂動法による計算で説明する。磁場が弱い場合の異常ゼーマン効果、正常ゼーマン効果、強い場合のパッシェン・バック効果、スピン軌道相互作用の取り扱いについて講述する。
ハートリー・フォック方程式 2 多電子原子の電子準位の計算について、平均場自己無撞着法によるハートリー法、ハートリー・フォック法、ハートリー・フォック・スレーター法について講述する。
分子モデル 2 2原子分子の場合における、原子価結合法、分子軌道法について講述し、水素分子イオン、水素分子の電子準位すなわち結合エネルギー、結合距離について説明する。また、分子の結合の種類、混成軌道について講述する。
結晶場と磁性 2 結晶中における原子の電子軌道について、結晶電場から説明する。また、ハイゼンベルグの有効ハミルトニアンを導入し、物質の常磁性と電子相関について概説する。

教科書

岡崎誠著「物質の量子力学」(岩波書店 岩波基礎物理シリーズ)

参考書等

 J. J. Sakurai, Modern Quantum Mechanics (Addison Wesley Longman)

履修要件

量子力学の基本(シュレーディンガー方程式、1次元ポテンシャル問題、期待値の概念など)

授業外学習(予習・復習)等

自主的に演習問題を行って下さい

授業URL

その他(オフィスアワー等)