授業科目名 : 物理化学III(化学工学)

科目コード 73090
配当学年 3年
開講年度・開講期 平成30年度・後期
曜時限 火曜・1時限
講義室 W301
単位数 2
履修者制限 有:3回生以上
授業形態 講義
使用言語 日本語
担当教員    所属・職名・氏名 工学研究科・教授・宮原 稔

授業の概要・目的

熱力学は化学工学の重要な基礎であるが、その直観的理解は難しい。熱現象の本質的理解には微視的観点が有効であり、またこれはナノテクはじめ種々の先端技術に不可欠な知識である。本講は、統計熱力学の基礎を講述し、巨視論のみでは理解困難なエントロピーや自由エネルギーについての深い理解と応用の実践を図る。

成績評価の方法・観点及び達成度

期末試験に加え,演習および随時に行う小テストの成績により総合的に評価する。

到達目標

エントロピーと自由エネルギーの背景である状態の数や状態出現確率との関係を理解し,格子系などの単純系について,各種のアンサンブルを活用して分子論的モデルの定式化ができるようになること。

授業計画と内容

項目 回数 内容説明
古典熱力学の基本法則 3 特に第二法則とエントロピー,自由エネルギーについて,「難解さ」を再認識する。
確率,状態分布と熱力学的極限 1 個々の分子のランダム運動が見掛けの熱力学状態とどのようにつながっているのか,単純な分布系を例に解説する。
ミクロカノニカル集団とエントロピー 1 総エネルギー一定下での状態数分布,S=klnW,dS/dE=1/Tとその解釈。
理想気体のエントロピーとBoltzmann分布,速度分布 1.5 位相空間と状態量,S=klnWからの理想気体のエントロピーの導出,エネルギー状態の分布。
カノニカル集団と分配関数 1.5 熱浴と接する部分系のエネルギー分布の考察,分配関数,(V,T)一定系でのヘルムホルツ自由エネルギー,(p,T)一定系でのギブス自由エネルギー。
グランドカノニカル集団と化学ポテンシャル 2 開放系の考察,大分配関数,化学ポテンシャル,応用例
演習 1 ミクロカノニカル,カノニカル,グランドカノニカル集団の各々について,分子論的物性に基づく熱力学状態の定式化に取り組む。成績評価に重要であり,必ず受講すること。講義の進行状況によっては,2回の演習を行うこともある。
古典統計近似と配置積分 1 位相空間での状態数を古典近似して定式化される分配関数の表現と配置積分を解説し、また配置積分と熱力学量との関係を述べる。
非理想系と分子間相互作用 2 実在系では分子間相互作用により非理想性が発現する。その結果としての不完全気体や気液転移の取扱いのアプローチを解説する。また典型的な相互作用ポテンシャル関数を紹介しつつ,配置積分を直接求めるのが分子シミュレーションの意義であることと,これによる熱力学的諸量の求め方を概説する。
学習到達度の確認 1 本講義内容について,到達度の評価・確認を行う。

教科書

なし

参考書等

「岩波基礎物理シリーズ:統計力学」(長岡洋介、岩波書店、1994)
「熱学入門:マクロからミクロへ」(藤原・兵藤、東京大学出版会、1995)
「物理学30講シリーズ:熱現象30講」(戸田盛和、朝倉書店、1995)
「新装版:統計力学」(久保亮五、共立出版、2003)
「化学系の統計力学入門」(B.Widom著、甲賀研一郎訳、化学同人、2005)
「物理の考え方2:統計力学」(土井正男、朝倉書店、2006)

履修要件

「物理化学基礎及び演習」、「物理化学I(化学工学)」

授業外学習(予習・復習)等

授業URL

なし

その他(オフィスアワー等)

しばしば小テスト(クイズ)を行う。また,演習は成績評価に重要であり,必ず受講のこと。