日々の安全のために

日名田 良一

日名田様写真平成8年4月に京都大学に採用されてから20 年が経ちました。採用時は薬学部の有機微量元素分析総合研究施設(元素分析センター)に配属となり、核磁気共鳴装置(NMR)の保守・管理、依頼分析を主に行っていました。依頼元の先生からの厳しくも温かいご指導のおかげで、何とか人並みにスペクトルをとり、解析できるようになりました。その後、元素分析(C、H、N、ハロゲン)も担当することになり、学内外からの依頼サンプルを黙々と分析する日々が続きました。微量の試料を取り扱うとともに分析スケジュールも厳密に決まっていたので、慎重かつ迅速な作業を要求されました。当時、工学研究科の有機合成系研究室からの分析依頼が非常に多かったと記憶しています。

国立大学が独立行政法人となった翌年の平成17年4 月に工学研究科に異動となり、附属環境安全衛生センターに配属となりました。環境安全衛生センターは、法人化と同時に設置された組織で、労働安全衛生法等の関係諸法令への対応や、廃棄物、排水などの環境分野、その他多岐にわたる業務を行っています。異動当初は、労働安全衛生法への対応として新規で始める業務が多く、大変なこともありましたが、やりがいを感じて取り組んでいました。さらに、ISO14001 認証取得の話があったことから、それに関する業務にも携わりました。結局、認証取得には至りませんでしたが、よい経験ができたと思っています。また、桂キャンパスでは初めてとなる消防訓練の企画のために、事務職員の方と夜遅くまで議論したことも印象に残っています。分析業務に明け暮れていた生活から一変したので、毎日がとても新鮮でした。

現在は主に、環境安全衛生教育、事故ヒヤリハット報告への対応、機器の定期自主検査、化学物質管理、廃棄物(有機廃液や不用薬品等)の外部委託処理対応、排水管理、PRTR 制度への対応などの業務を行っています。いずれも単独でできる業務ではないので、研究室や事務部の方々と連携させていただいています。また、高圧ガスや廃棄物処理などに関する踏み込んだ質問や問い合わせをいただくことも多く、そのような時に、構成員の方々の意識が高くなっていると感じます。

これまで幸いにも、工学研究科内で死者の出るような大きな事故は発生しておりません。しかし、軽微な事故やヒヤリハットについては、ほぼ毎月報告がありますので、決して安心はできません。日々の安全のためには、法令を遵守するだけでなく、物事の本質を捉え、それに応じた対策を行うことが重要であると考えます。そのために、研究室などの現場の方々と相談しながら、現実的な解決策を導き出していくことが、環境安全衛生センターの果たすべき役割の一つではないかと考えています。

工学研究科の教育・研究は日々進歩を遂げ、それに伴い、実験室の環境や使用する機器類、化学物質なども変動します。また、関連法令の改正も随時行われます。現状に合った最善の対応ができるよう、このような様々な動きに対し常に意識を向け、研鑽を積んでいきたいと思っています。

(技術専門職員)

日名田様写真2
環境安全衛生センター事務室