藤田 智哉

略歴

2007年3月 京都大学 工学部物理工学科 卒業
2009年3月 京都大学大学院 工学研究科修士課程 マイクロエンジニアリング専攻 修了
2012年3月 京都大学大学院 工学研究科博士後期課程 マイクロエンジニアリング専攻 修了
2012年4月 三菱電機株式会社 先端技術総合研究所入社
2015年3月 日本技術士会 技術士(機械部門)資格取得

メッセージ

藤田 智哉■現在の職務
金属を主に加工する機械(工作機械)の制御装置(CNC)の研究開発を行っています。松原研で培ったモータ制御や機械計測技術を軸にしたCNCの性能向上や、センサーやインターネットを活用した新機能の開発にも取り組んでいます。

■博士学位を取得しようと考えた動機
制御工学や振動工学、材料力学など様々な知識を総動員させて構成されている工作機械技術の奥深さを修士課程で体感し、興味を持ちました。修士課程では満足のいく研究ができなかったので、より深く探求したいと思い、進学を決意しました。

■博士学位の取得の意義について
若くてもプロとして扱ってもらえることが多く、ベテランの技術者方から見解を求められることも多いです。また、学会に在籍する期間が長いと、著名な先生や他社の研究者が若い時から人脈があるので、社外と連携する際に最大限に活用することができます。

■進学の際不安に感じていたこと
多くの同期が社会人デビューしていく中で、3年も学生を続けるというのが、最大の不安でした。私の場合、2年目から(独)日本学術振興会の特別研究員に採用され、給与をいただくことができましたが、1年目は金銭的、精神的に本当に不安でした。また、卒業後の進路も何があるのかわからないことも不安でした。蓋を開けてみるとアカデミック分野に進む他に、多くの企業で博士卒業者の採用枠があることがわかりました。

■後輩へのメッセージ
博士課程の志望者は「学者」を志すものと思われがちですが(私も最初はそう思っていました)、企業で「技術者」や「経営者」を目指すという選択肢もあります。今後欧米のように経営者になるために博士号が必要になったりするのではないかと予想します。そのためには、自身の研究テーマを人に伝えるためのプレゼンテーション能力や英語力、他者の研究テーマとコラボレーション・インテグレーションする力が特に要求されると思います。幸い京都大学の博士課程ではこれらの力が自然と身に付きますので心配はいりません。人生は一度きりなので、もし何かを深く学びたいという好奇心を持ったのであれば、是非博士課程進学を検討してみてください。

 2019年5月掲載)