呼 尚徳

略歴

2008年11月 ウロンゴング大学工学部医学物理学科 卒業
2013年7月 ウロンゴング大学大学院工学研究科修士課程医学物理専攻 修了
2020年3月 京都大学大学院工学研究科博士後期課程原子核工学専攻 修了
2019年4月 大阪医薬科大学 関西BNCT共同医療センター 特務助教採用
2019年8月 京都大学複合原子力科学研究所 粒子線腫瘍学研究センター 特定助教採用(クロスアポイントメント)

メッセージ

呼 尚徳

■現在の職務内容について
放射線治療の一つである硼素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)の臨床業務と研究開発を行っています。その他、大阪医科薬科大学医学部の学生研究を担当し、学生にBNCTを教えています。

■博士学位を取得しようと考えた動機
修士課程修了後、私は大学病院で医学物理士として放射線治療の現場で働き始めました。一般の放射線治療を経験した後、がん治療の発展のため、新たな治療法が必要だと考え始めました。色々と調べた結果、京都大学でBNCTの研究を行っている研究室にたどり着きました。当時は原子炉を用いた臨床研究が行われており、一般治療を目指している最中でした。この治療を出来るだけ早く患者が受けれるよう、この分野で研究を始めることを決めました。

■博士学位の取得の意義について
博士学位の取得の意義は自己研鑽のためです。博士学位を取得するため、様々な課題を乗り越えないといけないです。壁にぶつかった時、どう乗り越えるかを考えて・調べて・試行錯誤を繰り返して、たどり着いた結果が思っていたのと違っても、その「考える」プロセスが大事だと思います。このスキルは研究職だけではなく、企業にも非常に役に立つと思います。私自身は大学で教員として働いていますので、博士学位の取得は必須条件でした。

■進学の際に不安に感じていたこと
私は幼い頃から海外で生活をし、博士号取得のため日本にきました。慣れない環境での生活、言葉の壁、友達もいない、等々、不安が沢山ありました。しかし、京都大学工学研究科には多くの留学生が在籍していまして、国際交流のイベントなどが沢山あり、不安はすぐに消えました。私の研究室は熊取町にある京都大学複合原子力科学研究所でした。毎日過ごしていた学生部屋には放射線、原子核物理のみならず、様々な研究を行っている学生が集まっており、関連分野の知識を共有したり、時には一緒に食事をしたり、とても楽しい学生生活を過ごすことができました。

■後輩へのメッセージ
博士学位は研究者の道を追求したい人だけのものではありません。興味のあることを積極的に調べて、沢山の壁を乗り越えて、結果がどうであれ、重要なのはそのプロセスで習得したスキルです。

これから、失敗、上手くいかないことは沢山でてくると思いますが、
「エキスパートとは、ごく限られた分野で、ありとあらゆる間違いをすべて経験した人物である。」ニールス・ボーア。

学生の間、沢山の経験をして、何事にも諦めずに頑張ってください。

 2021年4月掲載)