米田 奈生

略歴

2017年3月 京都大学工学部物理工学科 卒業
2019年3月 京都大学大学院工学研究科修士課程機械理工学専攻 修了
2022年3月 京都大学大学院工学研究科博士後期課程機械理工学専攻 修了
2022年4月 株式会社コベルコ科研 入社

メッセージ

2024_yoneda.jpg

■現在の職務内容について
半導体デバイスの材料であるウエハの検査装置を作っている部門で、既存装置の改良や新装置の開発に携わっています。光を使うという点では、修士・博士課程での研究内容と多少関連はありますが、関連のない部分も多いです。最近は装置に搭載するソフト開発に携わることが多く、博士課程の後半で簡単なシミュレーションを行っていた経験が役に立っています。

■博士学位を取得しようと考えた動機
漠然と世界で活躍できる人間になりたいという思いがあり、その上で博士という学位が強みになるのではないかと思ったことでした。
ただ初めのうちは、「博士号を取ってみるのもいいな」くらいの考えで、「絶対取りたい」とは思っていませんでした。しかし学内外の博士学生や学位取得者にお話を聞くうちに、「博士課程に進学してみたい、そうしないと後悔する」と思うようになり、修士1年の12月に博士課程進学を決めました。

■博士学位の取得の意義について・キャリアとして役に立った点等
就職や仕事の上で役立ったと感じることはまだないですが、博士課程に進学したからこそできた経験は多かったと思います。アメリカのプリンストンプラズマ物理研究所と共同研究したことにより、英語でのディスカッションや発表を多く経験できましたし、1ヶ月だけでしたがアメリカでの生活という経験もできました。

■進学の際不安に感じていたことについて・その不安に対する実際の状況について
不安に感じたことは大きく三つあります。
一つ目は金銭面です。この不安は、幸運にも森記念製造技術研究財団の奨学生に1期生として採用されたことで、解消されました。この奨学金により3年間の学費、生活費、研究費を支援していただけ、不安も不自由もなく過ごすことができました。
二つ目は進路です。博士課程に進学=アカデミックに残るイメージがあり、修了後の選択肢が減る感覚がありました。この点は、企業の方とお話しして情報を集めることで解消しました。進学を決めたときには、博士卒でも企業で働くという選択肢があると分かっていたため、進学によりアカデミックという選択肢がむしろ増えたと考えていました。また周りの先輩方が企業に就職されたことも不安解消の材料ではありました。
三つ目はライフプランです。機械系の博士卒の女性の先輩が多くないこともあり、博士号取得後の自分がどうなっていくのか、どうなりたいのかは想像しにくかったです。この不安が在学中にゼロになることはありませんでしたが、結果的には何とかなったと思っています。

■後輩へのメッセージ
私は修士課程修了後、進学して博士号を取得する道を選びました。一方で働きながら博士号を取得する道を選ぶ人もいます。どちらにも長所と短所があります。それぞれの選択でしかできない経験があります。今進学を迷われている方にはぜひたくさん考えて悩んで、最善の道を見つけてもらえることを願っています。

 (2024年4月掲載)