先生からのメッセージ(地球工学科)

氏名・所属

須﨑先生

須﨑 純一
社会基盤工学専攻 
教授(2022年4月1日現在)

研究内容について

2次元の衛星画像から地上の3次元世界を再現する!
私は土木工学の測量学・空間情報学の分野において、画像やレーザデータを使って、「現代の測量」に取り組んでいます。画像は2次元のデータですが、人間の目と同じように異なる方向から重なるように撮影することで距離が分かり、3次元のデータに変換できます。地球の上空約700 kmで取得される衛星画像を使って、異なる方向から撮影された可視光線(赤、緑、青等の波長帯)の衛星画像から3次元の地表面データを生成できます。40 cmという高い解像度の衛星画像も利用されています。一方、高校の物理で習う光の干渉の原理を使って、ほぼ同じ方向からマイクロ波の反射を観測した衛星画像から、3次元の地表面データやその変動も推定できます。こちらも1 m程度の高解像度画像もあります。私は地表面データを精度良く推定する方法や、気象データを併用して地表面変動を予測する手法の開発、それらを土木インフラ(道路周辺の斜面や空港の地盤等)の維持管理や防災へ応用する際の工夫等を研究しています。一例として、大規模な土砂災害が発生する前に進行する微小な地盤変動を衛星画像から推定できる可能性を確認しており、その手法の確立に取り組んでいます。

衛星合成開口レーダ (synthetic aperture radar: SAR) 画像から推定した関西国際空港2期島の3次元変動速度
衛星合成開口レーダ (synthetic aperture radar: SAR) 画像から推定した関西国際空港2期島の3次元変動速度

先生に質問!

■ずばり、「京大工学の研究・教育」の強みはなんでしょうか?
能力や意識の高い学生が多数いて、同期、先輩、後輩から刺激を受ける機会が多いこと。また講義や卒業研究を通じて、世の中の課題に関する情報や解決策への助言を適宜学生に提供しながら、じっくりと向き合う教員が多数いて、学生が勉強しようと自発的に思う環境が存在すること。

■高校の理系科目と、現在の研究内容との繋がりは?
対象とする現象や課題の大事な点を捉えて、解ける問題として定式化する際に、数学や物理での考え方、技法が必要になります。直接観測できるデータは何か、誤差の影響を緩和して処理するにはどうするか、厳密な正解が求められない場合にどう近似するか判断する際に参考にします。

■京大工学への進学を検討している人へのメッセージ
理系科目が得意でなくても、社会や経済の仕組みに関心がある学生も活躍できる分野もあります。大学受験時に将来就職したい分野が決まっていなくても問題なく、決まっていても在学中に変わることもあります。学問的に間口が広い工学部で学ぶことで将来の選択肢の幅が広がります。

地上レーザ (light detection and  ranging: LiDAR) 計測機器を使った計測
地上レーザ (light detection and ranging: LiDAR) 計測機器を使った計測