わたしの WINDING ROAD ~京大の研究者になる~ #02 「好き」を貫いて今をつかんだ!笑顔かがやく期待の星★

みなさんこんにちは!
京大工学「わたしの WINDING ROAD ~京大の研究者になる~」編集部、インタビュアーMです。

京大工学には、様々なターニングポイントを経て「京大の研究者になる」ことを選んだ、女性研究者が数多くいます。
工学に興味を持った学生生活から、現在の研究生活まで、これまでどんな道を歩んできたのでしょうか。
工学研究科の若手職員が直撃インタビューしてきました!

本インタビューは、先生との会話をもとに読みやすく編集しています。

夢は子どもの頃の興味の中に

インタビュアーMがお話を聞いた女性研究者は、防災研究所(工学研究科社会基盤工学専攻修了)の仲ゆかり先生。

仲先生は農学部の学生として京都大学へ入学し、その後修士課程では工学研究科の大学院へ進みました。大学生活の中で心境の変化があったのでしょうか?

仲先生①

柔らかい笑顔で、ご自身の「好き!」に対して熱く語ってくれました。

 

――先生はどのような子ども時代を過ごしていたのですか

「岡山県の出身で、小さい頃から星を見ることが好きでした。今思えば、その頃から地球科学に興味があったのかもしれませんね。」

 

――小さい頃からの興味そのままに、大学へ進まれたのでしょうか?

「楽しそうだし、京都への憧れもあって、京都大学へ進学することにしました。もともと理科系科目が好きで、自分が理系なのは分かっていたんです。学部選びでは女子が多い方がいいと思い、農学部へ進学しました。でもいざ入学してみると、勉強内容は自分が抱いていたイメージとは違っているな、と思ったんです。学部生の間は勉強にあまり身が入らず、サークルやバイトを中心に過ごしていました。学部3回生のときに、周囲の学生と同じように一般企業への就職を考え、企業インターンに行ったりと就職活動を始めてみたのですが、ふと『結局自分は大学でやりたいことをやれずに卒業しそうだな…』と思ったんです。そこで、【別の研究科の大学院へ進む】という選択肢も考えるようになりました

 

――「やりたいこと」を探すのは難しいと思っている人が多いですよね。仲先生はどのようにして「やりたいこと」が学べる場所を見つけたんでしょうか

「幼少期から空を見上げるのが好きだったことを思い出して、『水 気象 京都大学』など関心のあるキーワードでインターネット検索しました。検索結果で出た研究室をひとつひとつまわり、現在所属する研究室にたどり着きました。なので、工学研究科を希望したというよりも、入りたいと思える研究室がたまたま工学研究科にあった、という感じですね

 

――少し遠回りして、自分の「やりたいこと」にたどり着いたんですね。新しい環境に飛び込むことに不安などはありましたか?

「農学部から工学研究科に進むことにより、知り合いゼロの状態から飛び込むことに一抹の不安はありました。でもいざ進学してみると、同期ににぎやかな人が多くて、不安はすぐに吹き飛びました。工学部出身の同期に追いつくため、必死で授業に出て単位を取っていったので、不安を引きずる余裕がなかったとも言えますが(笑)。やりたいと思っていた研究ができることが新鮮で、忙しくも毎日楽しかったです

「好き」と「根性」と「切り替え」 ジグザグ道も楽しむ!

――先生はその後、工学研究科博士課程に進学され、研究者としての道を歩むことになります。博士課程への進学は、いつ頃から考え始めましたか

「学部から大学院進学を決めた時点で、将来の進路として『研究者』が視野には入っていましたが、決意したのは修士課程でした。大学院生活は、自分はここで頑張りたい、という気持ちを確かめるための期間だったように思います。」

 

――研究者になることを決めたとき、周りの反応はどうでしたか?

「研究者を選ぶことについて親は応援してくれていたし、周囲でマイナスな反応をする人はいませんでした。強いて言うなら、学部卒で社会人経験を積んでいる友人等からどう思われているのかな、『あの人何してるんだろう』って思われてないかな、と自分の中で気になったことはありました。」

 

――社会人としてキャリアを重ねる同年代と比べてしまってたんですね。研究者になること以外に迷った進路はあったんですか?

「修士修了時には研究で得た知識を活かして、コンサル系やシンクタンクなどへの就職は考えましたね。大学教員はポストの数が限られているので、絶対なれるとも限らないと思って、企業への就職活動を並行して行っていました。そうやって予防線を張りながらも、自分の中では研究者を一番にめざしていました。

 

――研究者となった今、先生の研究や、職業としての研究者の魅力は何でしょうか?

「時間的(裁量労働制)にも、やることも、企業で働くより自由度が高いと思います。自由は責任があり重いものでもありますが、その中で自分のアイデアを形にして、社会に役立つ喜びを味わえるのは大きな魅力です。まだ誰にも知られていないことや解明できていないことを一歩ずつでも進めていくことができる、それを仕事にできることにも魅力を感じています。

 

――研究者として活動するにあたって、京都大学の研究環境はどうですか?

「京大の研究環境はハード面・ソフト面両方とも優れていると思います。ハード面では研究する上で不自由しないトップクラスの設備があり、ソフト面では日本トップクラスの先生と議論できる環境や、優秀な学生から刺激を受けられる環境があります。あとは京大というよりも、今いる研究室の雰囲気が良いんです!学部学生のときに研究室のホームページを見て『楽しそう!』と思いましたが、入ってからもイメージ通りでした。メンバーの仲が良く、所属する防災研究所の中では学生が多い研究室のため、活気もあります。」

――研究室のホームページを拝見したのですが、楽しそうな雰囲気で私も入りたくなりました!

 仲先生②

研究室で行った白浜ビーチ。防災研究所白浜観測所の見学の帰りにて

 

――逆に、研究者として大変なこと、しんどいときの息抜き方法などありますか

「研究者とは、ひとつのことを、成果が出なくてもアウトプットするために長く続けなくてはならない職業だと思っていて、そこがしんどい部分かもしれません。私は学生時代にソフトテニスやピアノに打ち込んだ経験から、根性はある方だと思いますし、同時に、『しんどい時の気持ちの切り替え』も得意なんです。しんどい状況になったら、まずは研究室での仕事を一旦ストップして、ドライブに出て、気持ちが落ち着いたら研究室に戻って仕事を再開したりすることもあります。これは大学教員が裁量労働制だからこそできる息抜き方法ですね。」

 仲先生③

時間がある時はゆっくり編み物や手芸をするのが好きなんだそう(写真は仲先生手編みのポーチ!)

 

――研究に対するモチベーションを保つために、先生ご自身も工夫しているんですね!

「研究を進めるにあたり、しばしば『達成しないといけない課題』に出くわしますが、この『絶対これをしないといけない…』という状態自体しんどいもの。必ずしも期待通りの成果が期待通りのタイミングで出るものでもないですから。もしひとつの課題でつまずいたとしても、そこで一喜一憂せず、あえて区切って別の課題に取り組む、ということを意識的にしています。あとは、人と比べないこともポイントですね。『あの人はこんな論文出したらしいよ』『この人はこんな研究費とったらしいよ』と色々な情報が入ってくるのですが、目先のことで比べず、自分の研究と向き合って取り組むようにしています。」

博士課程を目指す女子学生へメッセージ

――最後に、博士課程への進学を検討中の女子学生へのメッセージをお願いします!

「人生は選択の連続で、軌道修正は何度でもできます。歩んできた道がストレートでなくジグザグになったとしても、その時々で好きな方を選んでいれば、なりたい自分に近づくことができるはずです。研究者に関心がある学生さん、怖い!イメージができない!という気持ちは痛いほど分かります。でも、好きな気持ちがあれば『できる』になります。それに、自分の『好き』に従って選んだ道ならば、その後大きく後悔することも無いと思うんです。先が分からない不安はどの選択肢にもあるので、自分が好きな方に進むのがベストだと思います。」

ジグザグ道を楽しんで、自分の「本当にやりたいこと」にたどり着いた仲先生。自分の「好き」を見つけること、理解することの大切さを示してくださったメッセージに、インタビュアーMの胸も熱くなりました。
仲先生、ありがとうございました!

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