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【研究成果】世界の脱炭素社会実現に向けた水素エネルギーの役割 ―電化・バイオマスも組み合わせた包括的なエネルギー政策が重要―

掲載日:2022/03/04

 都市環境工学専攻の大城賢 助教、藤森真一郎 准教授らの研究グループは、世界全域を対象に、今世紀半ばの脱炭素化目標に向けた水素エネルギーの役割を評価するため、シミュレーションモデルを用いた分析を行いました。その結果、2050年までに水素エネルギーは最大で世界のエネルギー需要の15%まで増加し、特に運輸・産業部門の脱炭素化に寄与し得ることが明らかとなりました。

 2015年に採択されたパリ協定では今世紀後半に温室効果ガス排出を正味ゼロとする目標が合意されました。その対策として、再生可能エネルギーでの発電等のエネルギー供給側の脱炭素化に加えて、エネルギー需要側も化石燃料から電気に切り替える「電化」が主要な対策とされています。しかし、電化が困難な分野(船舶・航空などの長距離輸送、高熱需要の工業炉等)での排出削減が課題とされています。その解決策の一つとして、水素、アンモニア、合成燃料(水素と回収したCO2から合成した炭化水素)を含む水素エネルギーの増加が期待されていますが、世界全体を対象とした脱炭素社会の実現においてどの程度貢献し得るかは明らかにされていませんでした。

 本研究では、多くのシナリオでは、水素エネルギーの普及は主に費用面の障壁から2050年に5%程度の増加に留まり、電化やバイオマス利用がより効果的なオプションであることを示しました。一方で、ゼロ排出といった厳しい排出制約を伴うシナリオなど、特定の条件下においては、水素エネルギーは2050年までに最大で世界の最終エネルギー消費量の約15%まで増加し得ることが示されました。これらは、水素エネルギー、電力、バイオマスなど多様な脱炭素オプションについて、エネルギーシステム全体の費用・負担や社会受容性、インフラ整備の行程などを考慮した包括的な議論・政策の検討が必要なことを示唆しています。

 本研究成果は、2022年3月2日に、国際学術誌「Applied Energy」のオンライン版に掲載されました。

 

画像

図:世界の最終エネルギー消費量の推移。水素にはアンモニアを含む。
図右側の棒グラフは2050年の最終エネルギー構成を全シナリオについて示したもの。

詳しい研究内容について

世界の脱炭素社会実現に向けた水素エネルギーの役割―電化・バイオマスも組み合わせた包括的なエネルギー政策が重要― PDF File

研究者情報

大城賢  京都大学教育研究活動データベース
藤森真一郎
 京都大学教育研究活動データベース

論文情報

【タイトル】
 Role of hydrogen-based energy carriers as an alternative option to reduce residual emissions associated with mid-century decarbonization goals
(今世紀半ばの脱炭素化目標に向けた残存排出量削減策としての水素エネルギーキャリアの役割)

【著者】
 Ken Oshiro, Shinichiro Fujimori

【掲載誌】Applied Energy, 313:118803
【DOI】https://doi.org/10.1016/j.apenergy.2022.118803
【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/268703

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