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【研究成果】電流中の“スピン”の制御により水電解の効率化を実現―水素エネルギーによる持続可能な社会へ大きく貢献―

掲載日:2022/05/06

分子工学専攻の須田理行 准教授、辺智芸 同博士課程学生、筒井祐介 同助教、関修平 同教授、合成・生物化学専攻の加藤研一 助教、生越友樹 同教授らの研究グループは、二硫化モリブデン(MoS2)と呼ばれる層状化合物の層間にキラル分子を挿入した新奇な化合物である「キラルMoS2」が、電流中のスピンの向きを同方向に揃える性質を持つことを明らかにしました。また、同化合物を水の電気分解(水電解)における電極材料として用いると、スピンの向きが揃った電流の効果によって、酸素発生効率が大きく向上することを見出しました。

電流を担う電子の一つ一つは、スピンと呼ばれるミクロな磁石としての性質を持っていますが、通常はそれぞれのスピンの向きがバラバラなために磁石としての性質は全体として打ち消しあってしまい、電流中のこのミクロな性質が電気化学反応に利用されることはありませんでした。これまでは、電流中のスピンの向きを揃えるには、主としてレアメタルから構成される強力な磁石や電磁石といった大掛かりな装置が必要とされてきました。一方、本研究では同化合物を電極上に塗布するだけで、電流中の約75%ものスピンの向きが同方向に揃い、酸素発生反応を効率化させることが出来ることを明らかにしました。本成果は、水電解による水素生成技術を効率化する一助となり、持続可能な社会の実現に資する革新的反応制御技術となることが期待されます。

本成果は、2022年4月28日(現地時刻)にドイツの国際学術誌「Advanced Science」にオンライン掲載されました。

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図:キラルMoS2による酸素発生反応の効率向上。キラルMoS2を用いることで電流中のスピンが平行に揃った場合、ラセミ(キラルではない)MoS2の場合に比べて、スピン三重項状態の酸素が選択的に生成する一方で、副生成物であるスピン一重項状態の過酸化水素(H2O2)の生成が抑制される。

詳しい研究内容について

電流中の“スピン”の制御により水電解の効率化を実現―水素エネルギーによる持続可能な社会へ大きく貢献―

研究者情報

須田理行 京都大学教育研究活動データベース

筒井祐介 京都大学教育研究活動データベース

関   修平 京都大学教育研究活動データベース

加藤研一 京都大学教育研究活動データベース

生越友樹 京都大学教育研究活動データベース 

論文情報

【タイトル】
 Hybrid Chiral MoS2 Layers for Spin-polarized Charge Transport and Spin-dependent Electrocatalytic Applications
(スピントロニクスとスピン依存電気化学への応用を可能にするキラルMoS2化合物)

【著者】
 Zhiyun Bian, Kenichi Kato, Tomoki Ogoshi, Zhou Cui, Baisheng Sa, Yusuke Tsutsui, Shu Seki, Masayuki Suda

【掲載誌】Advanced Science
【DOI】https://doi.org/10.1002/advs.202201063

関連リンク

分子工学専攻
関研究室
合成・生物化学専攻
生越研究室