高等学校進路指導担当教員との座談会

■ 座談会の概要
 ジェンダー平等の推進のため,京都大学では男女共同参画推進アクションプランを設定し取り組みを行っており,工学研究科でも様々な取り組みを進めているところです。

 令和3年11月5日(金),初の試みとして高等学校進路指導担当教員を桂キャンパスに招いて座談会を開催しました。優秀な高校生に工学部を選択してもらうためには,女子高生にとっても工学部は魅力ある進路先であることを伝えるには,何が必要か,何をすべきか,率直なご意見を聞かせていただきました。
 冒頭,椹木工学研究科長より座談会の趣旨と目的の説明ののち,横峯副研究科長より工学部の女子学生数の推移や進路先,現在の女子学生のための取り組み等について説明を行いました。そして,工学分野のキャリアを活かして社会で活躍されている2名の女性の修了生から工学を選んだ理由や工学の魅力,学生時代の思い出,現在の職業を選んだ決め手となったことや仕事に役立っている工学での学びについて話していただきました。

座談会の様子
座談会の様子

 続く意見交換会は岸田副研究科長の司会進行のもと,「優秀な女子高生にとって京大工学進学は何が障壁になっているのか」をテーマに9校の高等学校の進路指導教員の先生方から畏憚のないご意見をいただきました。ご意見の中には,医薬系の学部は医師や薬剤師に直結している印象があるが,工学部は将来がイメージしにくい面があり,身の回りにあるものが工学に繋がっているということが理解できるよう,研究内容を分かりやすく説明してはどうか,医工連携をアピールしてはどうか,高校で学ぶ物理等の勉強が大学で学ぶ工学分野を通じて社会とどのようにつながっているのかイメージできれば工学に関心を持つのではないか,といったものがありました。

 意見交換会終了後は,実験施設(風洞実験装置),桂図書館といった施設見学や学生のメンタルケアを担う保健室の説明を行いました。
 工学研究科では,今後も様々な機会を設けて,男女共同参画推進の取り組みを進める所存です。

(桂地区(工学研究科)総務課)

施設見学の様子(実験施設)
施設見学の様子(実験施設)

施設見学の様子(桂図書館)
施設見学の様子(桂図書館)


■ 修了生の声

竹内萌さん
竹内 萌 さん

建築学専攻 
2017年修士課程修了
建設会社 設計部門 所属

 


京都大学 工学部 建築学科を選んだ理由
 子供の頃から表現することや⼿を動かすことが好きで,「もっと⼤きいものが創れたら楽しいだろうな」と漠然と思っていました。学校の行き帰りに寄っていた福井県立図書館がとても居心地がよく,建築学を学ぶとこういう空間が作れるのかと思うようになりました。また,女性建築家の富田玲子さんの「小さな建築」を読み,ワクワクしながら建築をされている姿に憧れました。京都大学を選んだ理由は,高校2年のオープンキャンパスで,教授のレクチャーを受けることができたことと,学生の熱のようなものを感じ,京都大学に決めました。

京都大学 ⼯学部 建築学科の魅⼒,学⽣時代の思い出
 建築の専門授業である設計課題です。2・3ヶ月毎に様々なテーマで課題が出され,その課題について仲間と共にリサーチし,案を練って,先生の意見をもらいながら作品を制作し,作品についてプレゼンを行っていました。同級生とは制作をするうちに仲良くなりましたし,先輩や後輩とも制作を通じて交流がありました。授業以外では,友人たちと日本全国の有名建築作品を目当てに色々な所を旅行しました。また,サークルを通じて,京都大学以外の友達もできました。

就職の決め⼿,仕事で役⽴っている⼯学での学び
 就活で大切にしたことは,「ものづくりに深く関わりたい」と「多様な人とコラボレーションしたい」という思いでした。学生時代の設計課題において,課題の分析やアイディアを出しブラッシュアップした経験,地域住民や建物の利用者と関わった経験が仕事で生かされています。建築学科には貪欲に学びあう空気感が醸成されていたと思います。

三浦理紗子さん
三浦 理紗子 さん

高分子化学専攻 
2020年博士後期課程修了
京都大学大学院工学研究科
物質エネルギー化学専攻 助教

 

京都大学 工学部 工業化学科を選んだ理由
 京都大学は学習,研究に対して非常に良い環境が揃っているだろうというイメージがありました。高校時代は化学は好きだが,医療にも興味があったため,化学系か医療系(医学部や薬学部)のどちらに進学するか悩んでいました。その中で,「生体材料(医療に使える材料)の開発」が自分の興味を包括できる分野だと思い,工業化学科に進学することを決めました。
 高校の先生や父親はチャレンジすることに応援してくれましたが,母親からは工学は女子学生が少ないのに…と反対までは無かったですが驚かれました。

京都大学 工学部 工業化学科での学生時代
 工業化学科は約240人中,女子学生は約40人ほどで高校時代の理系クラスと差はあまり無かったかと思います。また,アルバイトやサークル活動などで他学部・他大学の学生と交流があるので自然と女友達もでき,男子に囲まれて肩身が狭いということは無かったです。
 京都大学の工業化学科は世界的に著名な先生が非常に多いですし,自主的にゼミを開催する勉強熱心な学生も多く刺激を受けていました。留学や企業へのインターンシップも経験できました。ハードワークなイメージがあるかもしれませんが,研究室旅行等楽しい学生生活を過ごしていました。

就職の決め⼿
 学生時代の研究が楽しく,「自分がおもしろいと思えることをやりたい!」と思い,企業ではなく大学で研究をすることを選択しました。所属している研究室は自由度の高い勤務体制で,産休・育休・介護・家族の行事等にも理解がある職場です。