光量子センシング教育研究センターの設立について

電子工学専攻 教授 竹内繁樹,特定教授 加賀田博司

 2025年4月に,工学研究科に附属光(ひかり)量子センシング教育研究センターが設立されました。
 イメージング,化学分析装置や空間センシングなど,光センシングは学術研究や社会の幅広い分野で欠かせない技術です。しかし,従来の光センシングでは,古典電磁気学で記述される,レーザー光などの「古典光」が用いられてきました。「光量子センシング」は,古典電磁気学では記述出来ない「量子もつれ光」や量子力学的な効果を利用する事で,従来の光センシングの限界を打破し,新たな機能を実現するものです。
 工学研究科は,平成30年に文部科学省の「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」に基礎基盤研究の一つとして採択されました。令和元年には学際融合教育研究推進センターに「光量子センシング研究拠点ユニット」を設立しました。研究の進展により,令和5年には「光量子センシング社会実装コンソーシアム」を設立し,社会実装を見据えた活動にも力を注いでいます。このような状況の中で,光量子センシング分野に関連した教育研究を,工学研究科を中心としてさらに加速し,学内・学外に貢献することを目的に設立されたのが,本センターです。
 センターのミッションは,光量子センシングならびに光量子科学に関する「教育」,「研究」,および「社会実装」の推進です。そのために,光量子センシングに関連した講義やセミナー,ワークショップを開催します。また,研究科の枠を超えた連携による新しい領域の研究の創出にむけ,工学研究科に加え,理学研究科,医学研究科,化学研究所,基礎物理学研究所,高等研究院,また他大学・公的研究所・民間企業より,連携教員・連携研究者として加わって頂いています。
 さらに,量子技術イノベーションハブ(QIH)と連携した活動の推進もミッションとして掲げています。QIHとは,国の量子技術イノベーション戦略に基づき,2021年に発足した組織であり,量子科学技術に関する基礎研究から技術実証・知財戦略・人材育成までを一貫して推進することを目的としています。これまでに,理化学研究所をハブとし,国内の11機関が拠点として認定されていました。幸い,2025年6月に閣議決定された「統合イノベーション戦略2025」において,京都大学は12番目の新たな拠点「光量子科学拠点」として認定されました。
 2025年6月27日に実施したセンター設立記念行事では,立川康人工学研究科長のご挨拶のあと,田渕敬一文部科学省量子研究推進室長,岩井一宏京都大学理事・プロボストよりご祝辞をいただきました。そして竹内繁樹光量子センシング教育研究センター長よりセンターの説明があった後,荒川泰彦東京大学名誉教授より特別講演「量子ドットの発展 ―黎明期から社会実装,光量子科学技術への展開―」をいただきました。その後の意見交換会でも,学生や若手研究者のポスター発表を囲み,様々な企業を含む関係者により,活発な議論が交わされました。
 本センターの設立に際する,本学総合研究推進本部,成長戦略本部,桂地区事務部をはじめ,学内外の関係の皆様のご尽力に心より感謝申しあげます。今後とも,附属光量子センシング教育研究センターの活動へのご理解,ご支援を,なにとぞ御願い申しあげます。

センター設立記念行事にて(竹内先生)