科目名 : 地殻環境工学

科目コード 10A405
配当学年 修士課程
開講期 前期
曜時限 水曜2時限
講義室 C1-171
単位数 2
履修者制限
講義形態 講義
言語 日本語
担当教員 小池克明

講義概要

地殻環境工学は我々の生活と密接に関連する学問分野であり,社会基盤施設のための地下開発と利用,放射性廃棄物の地層処分,気体や液体の地中貯留,地滑り・地震などの自然災害,および地下水資源,金属・非金属鉱物資源,地熱・エネルギー資源の探査と開発,資源量評価など,地球科学・工学に関する多くの問題を対象とする。本講義では地殻環境工学で重要となるテーマとその基礎概念,工学的応用,および地殻の地質的・物理的・化学的性質を明らかにするための空間情報学的アプローチについて,研究例を紹介しながら講ずる。

評価方法

レポート点と平常点を総合して成績を評価する。

最終目標

地球の一要素としての地殻の位置付け,物理・化学的性質,人類に恩恵をもたらす資源の胚胎場所としての重要性,その反対として自然災害の脅威の源であることについて十分理解する。それとともに,人類の福祉や持続可能な社会作りに貢献し得る地殻との関わり,すなわち地殻の開発・利用法や環境保全法について自分なりの方向性を見出せること。

講義計画

項目 回数 内容説明
1.イントロと水循環の基礎事項 1 本授業の組み立てを説明するとともに,本授業の取り掛かりとして地球環境問題を総観する。特に最近注目されている水環境問題を例に取り,水循環のメカニズム,水の流れを支配する物理と地質的要因などを講述し,地殻を把握することの重要性について理解を深める。
2.地球システムの物理 1 地殻環境工学は地球を対象とする学問分野であるので,まず地球の構造,物理,化学を理解する必要がある。そのため,地球の物質・温度・圧力構造や一般地質・鉱物について復習し,地殻変動を含む地球のダイナミクスについて説明する。次に,鉱物鉱床や石油ガス鉱床の形成にも重要となる深部地殻流体,および最近注目されている地熱資源に関する基礎知識を修得するために地球熱学と火山地帯での地熱システムについて講述する。
3.地球システムの化学 1.5 地殻,マントル,コアを形成する岩石鉱物の化学的性質,地殻流体の化学組成,および岩石と流体との化学反応などについて講述する。
4.地球情報学の基礎(1)-地質モデリング法- 2.5 地殻の物理的・化学的性質,およびそれらの時間-空間にわたる分布を詳細に明らかにするための空間情報学的アプローチをシリーズで説明する。
 まずは離散的に分布する地質情報から地質構造・物性をモデリングするための手法として,数理地質学の概要,地質データの一般的な解析法,およびバリオグラムによる空間相関構造解析について講述する。次に,クリギングによる空間データ推定,地球統計学的シミュレーション,ニューラルネットワークの応用について研究例を交えながら講述する。
5.地球情報学の基礎(2)-地質構造のスケーリング- 1 地下を直接見ることはできないが,地形に地質,幾何学的構造,地殻変動,地殻の化学などに関する情報が現れることもある。地殻表面から深部環境を推定する手法として,地形情報と地質情報の活用,および限られた情報から広いスケール,あるいは局所的な構造を推定するための地質構造のスケーリング-ミクロとマクロを結ぶもの-などについて講述する。
6.地球情報学の基礎(3)-リモートセンシング- 3 地殻の物理・化学,地質構造,変動,資源探査,および環境モニタリングに関する調査法として有効なリモートセンシングについて概説する。
 まず,物質と電磁波との相互作用,光学センサによるリモートセンシングに関して研究・調査例を交えながら講述する。次に,マイクロ波センサによるリモートセンシングの基礎,ポラリメトリックSARによる地表物質の識別,および干渉SARによる地形解析,地殻変動解析について講述する。
7.地球情報学の基礎(4)-地球計測・地化学探査- 1 地殻構造の可視化法として,物理的応答を利用した地球計測法,それによるデータのインバージョン解析法,および地表浅部の化学的異常を抽出・解析する地球化学的探査法について概説する。
8.地圏の環境問題 (1)-風化作用と地質環境・災害問題- 1.5 岩石の風化は地形,土壌,地下水系,残留鉱床などを形成する地殻表層での重要な化学作用である。岩石の風化プロセスと土壌形成システムについて講述するとともに,風化帯で生じる代表的な環境問題として土壌・地下水の汚染,海水侵入,塩害化などについて説明する。
 また,地球ダイナミクスによる深刻な被害をもたらす自然災害の代表的な例として,地すべり,地盤沈下,液状化,火山噴火,地震などについて講述する。
9.地圏の環境問題 (2)-地中貯留と地層処分- 1.5 地殻は長期にわたる貯留場所として利用されることがある。その代表である高レベル放射性廃棄物の地層処分と二酸化炭素の地中貯留 について説明する。次に,その貯留機能が失われることによる貯留物質の岩盤への移行や地下水汚染現象,およびこれらの現象を支配する要素の一つである亀裂分布の空間モデリングなどについて講述する。
10.鉱物・エネルギー資源問題 1 地殻を利用する工学としては鉱物・エネルギー資源の開発が代表的である。地質鉱床学やエネルギー資源の基礎を復習するとともに,世界的な資源の利用状況と資源問題についても触れ,太陽光,風力,地熱などを利用した自然エネルギー,およびそれらの利点・欠点などについて講述する。

教科書

指定しない。各授業時にプリントを配布する。

参考書

授業時に紹介する。

予備知識

地質学,物理,化学の基礎知識があることが望ましい。

授業URL

その他