授業科目名 : 統合動的システム論

科目コード 10X716
配当学年 修士課程
開講年度・開講期 後期
曜時限 月曜4時限
講義室 工学部総合校舎213
単位数 2
履修者制限
授業形態 講義
使用言語 日本語
担当教員 所属・職名・氏名 情報学研究科・教授・大塚 敏之
情報学研究科・准教授・櫻間 一徳

授業の概要・目的

本講義では,人間,機械,社会,環境などさまざまな対象を統合した動的システムをモデル化・解析・設計・制御するための方法論として,非線形システムの最適制御問題およびマルチエージェントシステムの理論について講述する.
講義の前半では,最適化の基礎から始め,動的システムの最も望ましい動かし方を見つける最適制御問題の一般的な設定を述べる.そして,必ずしも解析的に最適解が求められない場合の数値解法についても学ぶ.これらは20世紀半ばに発展した比較的古典的な手法であるが,今でも幅広い応用がある.さらに,近年の計算機と数値解法の発展により,複雑な最適制御問題を実時間で数値的に解くことでフィードバック制御を行うという今までに無い制御の枠組みが生まれつつある.本講義では制御における実時間最適化の基本的な考え方とその適用事例を学ぶ.時間が許せば,離散時間系の最適制御についても連続時間系と対比させながら紹介する.
講義の後半では,複数のエージェントの局所的な相互作用をもとに大域的な機能を発現するマルチエージェントシステムの理論について,自然界や人工物の例からはじめて,ネットワーク構造を記述するためのグラフ理論,合意制御の理論と分散最適化などの応用について述べる.
最適制御とマルチエージェントシステムの理論やアルゴリズムは非常に応用範囲が広い.また,制御理論だけでなく数値計算や計算機などさまざまな分野の進歩を活用するという側面もある.最適制御やマルチエージェントシステムと他分野とのつながりを意識すれば専門の如何に関わらず学んだ知識が豊かなものになるだろう.

成績評価の方法・観点及び達成度

レポートによって講義内容の理解度を評価する.

到達目標

最適制御がさまざまな問題に応用できることを理解し,制御目的に応じた適切なモデルと評価関数拘束条件を設定し,最適性条件を導出できるようになる.さらに,最適制御問題の数値解法を理解し,実際に数値解を計算できるようになる.また,さまざまな現象や工学的問題がマルチエージェントシステムとして表現できることを理解し,それらのモデルや制御原理を数学的に記述し解析・設計できるようになる.

授業計画と内容

項目 回数 内容説明
最適化問題 1 評価関数,制約条件
関数の最小化(数理計画問題) 2 基本的な概念,KKT条件
最適制御問題の定式化と最適性条件 2 変分,停留条件,動的計画法,最小原理
最適制御問題の数値解法 2 勾配法,ニュートン法
数値最適化によるフィードバック制御 1 モデル予測制御問題,数値解法,応用例
マルチエージェントシステム 2 マルチエージェントシステムの例,合意制御
グラフ理論 2 グラフの定義,グラフの代数的性質
合意制御器の設計と解析 2 連続時間システム,離散時間システム
合意制御の応用 1 分散最適化など

教科書

大塚敏之 『非線形最適制御入門』(コロナ社)ISBN:4339033189
東・永原ら 『マルチエージェントシステムの制御』(コロナ社)ISBN:4339033227

参考書等

(参考書)
A. E. Bryson, Jr., and Y.-C. Ho 『Applied Optimal Control』(Taylor & Francis)ISBN:0891162283(話題と例題が豊富である.)
R. F. Stengel 『Optimal Control and Estimation』(Dover)ISBN:0486682005(幅広い話題を網羅している.)
D. E. Kirk 『Optimal Control Theory: An Introduction 』(Dover)ISBN:0486434842(最適制御に話題を絞って平易に書かれている.)
嘉納秀明 『システムの最適理論と最適化』(コロナ社)ISBN:4339041238(数値解法について詳しい.)
坂和愛幸 『最適化と最適制御』(森北出版)ISBN:4627005393(理論について詳しい.)
大塚敏之ほか 『実時間最適化による制御の実応用』(コロナ社)ISBN:4339032107(モデル予測制御の数値解法,自動コード生成,応用事例を紹介している.)

履修要件

基礎数学 (多変数の微積分,線形代数) の知識を前提とする.また,必須ではないが,学部の制御理論,最適化などを修得しておくことが望ましい.

授業外学習(予習・復習)等

教科書に事前に目を通して講義内容の概略を把握してから講義に臨み,講義後は講義ノートの不明点を教科書や質問で確認することが望ましい.レポートでは,授業外に各自で問題設定や数値計算に取り組む.

授業URL

その他(オフィスアワー等)

担当者宛の事前予約によって対応する.※オフィスアワーの詳細については、KULASISで確認してください。