高温超伝導モータの室温運転に成功-輸送機器など実用化に道筋-

我が国の電力の多くは発電機によって供給されており、一方で電力消費の55%以上はモータによって担われています。従って、すべての回転機(発電機、モータ)の効率を平均値として1%でも改善出来れば極めて大きな省エネ効果や低炭素効果を実現できます。上記効率改善を達成する旗手として超伝導材料が期待されています。超伝導材料は、極めて大きな電流を抵抗0で流すことができ、また高い磁界を発生させることができることから、回転機の効率を大きく改善しかつ小形・軽量・コンパクトにできます。しかしながら、一般的な超伝導回転機はマイナス200℃程度以下の極めて低い温度に常に冷却しておく必要があります。従って、もしも冷却装置が故障して温度が上昇してしまうと超伝導状態で無くなり、抵抗発生に伴って爆発や焼損などの深刻な問題が発生する危険性があることから、超伝導回転機の実用化に際して大きな課題になっていました。

電気工学専攻の 中村武恒 特定教授 らのグループは、高温超伝導誘導同期モータ(High Temperature Superconductor Induction/Synchronous Machine)を対象にして、同モータの巻線を高温超伝導体と常伝導体のハイブリッド構造にすることで、温度上昇に伴って室温になっても出力を低下させた上で連続駆動することに成功しました。本開発は、それぞれイムラ・ジャパン株式会社ならびに三菱重工業株式会社と共に実施した共同研究成果として実現されました。

なお、イムラ・ジャパン株式会社との共同研究成果は2022102328日に開催された応用超伝導会議 (ASC’22、ハワイ)において発表され、雑誌IEEE Transactions on Applied Superconductivityに採録されました。

また、三菱重工業株式会社との共同研究成果は20221129日-121日に開催された第35回国際超伝導シンポジウム(ISS2022、オンライン&名古屋市)において発表されました。

研究詳細

高温超伝導モータの室温運転に成功-輸送機器など実用化に道筋-

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