岩井 裕正

略歴

2010年3月 京都大学工学部地球工学科 卒業
2012年3月 京都大学大学院工学研究科修士課程 社会基盤工学専攻 修了
2015年3月 京都大学大学院工学研究科博士後期課程 社会基盤工学専攻 修了
2015年4月 名古屋工業大学 助教

メッセージ

岩井 裕正

私は20153月に博士号を取得し、同年の4月から名古屋工業大学の助教として着任いたしました。専門分野は地盤工学で、卒業論文および修士論文の研究指導をはじめ、学部生を対象に地盤力学や土質実験などの専門科目の教鞭をとっております。

さて、私が博士号の取得を目指した最大の動機は、京都大学の博士学位を取得するということは、最大の自己投資であるという想いがありました。

博士号は、一般的に言われるように、自ら研究を遂行していく能力を証明するものであり、大学教員や研究所などで研究者として働くためのパスポートだと表現されることも多いかと思います。私の場合ももちろん、大学教員として働くために、博士号を取得する必要があるという必要論的な考えもありましたが、それよりはむしろ、博士課程の進学は大きな自己研鑽の場であり、博士号はその証明書として得られるものだという考えが第一でありました。また、博士課程に進学すると、専門分野をより深く掘り下げて研究するため、知識が偏るとか視野が狭くなるという意見もありますが、実際は全くの逆です。研究を深く掘り下げるためには、色んなツールが必要ですし、一筋縄でいかない時には別の穴から掘り進めることも必要となってきます。従って、獲得する知識の幅は格段に広がりますし、物事も見方も多方面の切り口から考える能力が身につけられます。

私もかつて進学を決めた際には経済的な不安や修了後の就職の不安がありました。それでも、今後働いて定年を迎えるまでのおよそ4050年先に何が残るかを考えた時、自分の力で研究を遂行していく中で、温故知新の知見・智恵や学問を究めた矜持を得ることが、人生を豊かにするための投資だと信じて進学を決意致しました。

博士課程進学について、その後の進路を考えれば不安になるかもしれません。決して楽な道のりではなく、博士進学の道を選択するのには覚悟が必要だと思います。しかし、専攻した研究分野で、これまで蓄積されてきた英知のその一歩先の地平を開くのは、現代に生きる研究者にしかできないことであります。巨人の肩の上に立ち、新しい景色を見渡すために博士号の取得を目指してみてはどうでしょうか。

2019年5月掲載)