硫黄が光で動く新反応 ―硫黄種が自律的かつ触媒的に働き、難反応基質を活性化―

化学理工学専攻の大宮寛久 教授、村上翔 助教、薬学研究科の柳田瞭 大学院生、Institute of Chemical Research of CataloniaのValero Gimeno Alfonso大学院生、University of TorontoのJustin Ching大学院生らの研究グループは、硫黄を含む分子が光を受けて自律的かつ触媒的に働き、反応しにくい有機分子を活性化する新しい反応手法を開発しました。炭素ラジカルは医薬品や機能性分子の合成に役立つ重要な反応中間体ですが、従来は高価な光触媒や金属試薬を必要とすることが多く、簡便で汎用的な方法の開発が課題でした。今回の研究では、硫黄を含む中間体や硫黄由来の活性種が可視光を吸収して働くことで、外部の光触媒を使わずに炭素ラジカルを発生できることを示しました。さらにこの方法は、通常は活性化が難しい難反応基質であるアルキルクロリドやエポキシドにも適用でき、硫黄種が自律的かつ触媒的に働きながら炭素―炭素結合形成反応へと導けることを明らかにしました。本成果は、硫黄を単なる構造要素ではなく、光で反応を動かす自律的・触媒的機能要素として活用できることを示すものであり、より簡便で持続可能な有機合成法の開発につながると期待されます。
本成果は、2026年4月14日(現地時刻)に米国化学会誌 Journal of the American Chemical Society にオンライン掲載されました。

研究詳細

硫黄が光で動く新反応 ―硫黄種が自律的かつ触媒的に働き、難反応基質を活性化―

研究者情報

論文情報

タイトル

 Visible-Light-Induced C–S Bond Cleavage Enables Alkyl Radical Generation from Redox-Inert Substrates
(可視光によるC–S結合開裂を利用した難還元性基質からのアルキルラジカル生成)

著者

Ryo Yanagida, Valero Gimeno Alfonso, Justin Ching, Sho Murakami, Hirohisa Ohmiya
(柳田瞭、バレロ・ヒメノ・アルフォンソ、ジャスティン・チン、村上翔、大宮寛久)

掲載誌

Journal of the American Chemical Society

DOI

10.1021/jacs.6c01895

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