【研究成果】低消費電力集積回路の350℃基本動作実証

 電子工学専攻の金子光顕 助教、木本恒暢 教授らのグループは、既存のSi(シリコン)半導体による集積回路では理論上動作不可能な高温環境において、SiC(シリコンカーバイド)半導体を用いることで集積回路の350℃基本動作実証に成功しました。

 Si半導体による集積回路は、あらゆる機器の動作を制御する上で欠かせない半導体ですが、動作可能温度が250℃程度に限られています。近年、集積回路の適応範囲を人の手の届かない高温環境に広げようという動きが高まっています。例えば、地下資源掘削の際、地盤情報のリアルタイムセンシングが求められますが、数km以上地表から掘り進める必要があり、深部では300℃以上に達することもあります。

 SiC半導体は理論的にSi半導体より高温環境で動作が可能ですが、集積回路の基本要素であるトランジスタの特性制御、および消費電力の低減が課題でした。本グループは、独自の構造を有するトランジスタを開発し、室温~350℃の温度範囲で安定動作する低消費電力の論理ゲート実証に成功しました。今回の技術により、高温環境により制限されていた資源探索、宇宙開発などの分野発展が期待されます。

 本研究成果は、2022年3月25日に、応用物理学会第69回春季学術講演会で発表されました

詳しい研究内容について

低消費電力集積回路の350℃基本動作実証PDF File

研究者情報

金子光顕 京都大学教育研究活動データベース
木本恒暢 京都大学教育研究活動データベース

論文情報

【タイトル】
 SiC相補型JFET論理ゲートの350℃動作

【著者】
 金子 光顕、中島 誠志、金 祺民、木本 恒暢

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電子工学専攻
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