「深海インスパイヤード化学」のコンセプトを発表 ― カーボンニュートラル実現に向けた新たな深海利用の提案 ―

高分子化学専攻の古賀 毅 教授、出垣 大貴 大学院生、海洋研究開発機構の出口 茂 生命理工学センター長、京都工芸繊維大学の谷口育雄 教授は、深海から得た発想を基に、化学者の創意工夫によって革新的な化学を生み出す「深海インスパイヤード化学」のコンセプトを発表しました。

地球表面の約70%を占める海洋の利活用は、地球と共生する持続可能な社会を実現する鍵です。従来のリニアエコノミー(線形経済)のパラダイムの下での海洋利用は「水産資源」や「エネルギー資源」といった「モノ」の利用が中心でした。しかしながら持続可能なサーキュラーエコノミー(循環型経済)のパラダイムの下では、単なる「モノ」の利用の枠を超えた海の利用が求められます。「深海インスパイヤード化学」は、深海極限環境下でのユニークな物理化学プロセスや生物が深海に適応する過程で獲得した固有の生存戦略を活用した深海利用の知識経済化の提案であり、カーボンニュートラル実現に向けたソリューション開発への貢献が期待されます。

本論文はアメリカ化学会が発行する学術誌「Langmuir」からの招待を受けて執筆され、2023年6 月2 日付(現地時間)にオンライン掲載されました。また「深海インスパイヤード化学」のコンセプトを表現したイラストが掲載号の表紙に選ばれました。

研究詳細

「深海インスパイヤード化学」のコンセプトを発表― カーボンニュートラル実現に向けた新たな深海利用の提案 ―

研究者情報

書誌情報

タイトル Deep‑Sea‑Inspired Chemistry: A Hitchhiker’s Guide to the Bottom of the Ocean for Chemists(深海インスパイヤード化学:化学者のための海底ヒッチハイク・ガイド)
著者

出口 茂、出垣 大貴、谷口育雄、古賀 毅

掲載誌 Langmuir
DOI 10.1021/acs.langmuir.3c00516
KURENAI http://hdl.handle.net/2433/283302

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