ずれ易さがメカノケミカル反応の指標に ―酸水素化物の形成領域が拡大―

通常、酸化物をはじめとする無機化合物は高温で焼成することで合成されます。一方で、メカノケミカル反応は、ボールミルという粉砕機を使用して機械的に出発原料を攪拌・混合する方法です。この手法は高温電気炉を必要とせず、環境に優しい手法として古くから利用されています。しかし、どの条件で原子レベルで混ざり合い、化合物が形成されるのかという反応の基本的な問題は未解決でした。
物質エネルギー化学専攻の笹原 悠輝 特定研究員(学振PD)、陰山 洋 同教授らの研究グループは、メカノケミカル反応を用いて、一連のペロブスカイト構造をもつ酸水素化物の合成に成功しました。さらに、出発原料のせん断弾性率(ずれ易さ)が反応の可否を決定する指標となることを発見し、同様の傾向が酸化物にも見られることを確認しました。この発見は、メカノケミカル反応を用いた物質開発と機能創出を加速させることが期待されます。
本成果は、2024年4月17日20時 (現地時刻) に国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に公開されました。

研究詳細

ずれ易さがメカノケミカル反応の指標に ―酸水素化物の形成領域が拡大―

研究者情報

書誌情報

タイトル

Mechanochemical Synthesis of Perovskite Oxyhydrides: Insights from Shear Modulus(ペロブスカイト酸水素化物のメカノケミカル合成: せん断弾性率からの洞察)

著者

Yuki Sasahara, Rina Terada, Hiroki Ubukata, Miho Asahi, Daichi Kato, Tatsuya Tsumori, Morito Namba, Zefeng Wei, Cédric Tassel, and Hiroshi Kageyama*

掲載誌

Journal of the American Chemical Society

DOI

10.1021/jacs.3c14087

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