置換基をもたないヘテロ[8]サーキュレンの合成と特異な発光挙動の解明

剛直な平面構造を有する多環芳香族炭化水素は、グラフェンをナノサイズに切り出した構造を有することからナノグラフェンとも呼ばれます。ナノグラフェンの構造と物性の相関を解明する研究が有機合成化学者により盛んに行われており、その中でヘテロ元素を組み込んだドープ型ナノグラフェンも多数報告されています。しかしそのほとんどは、有機溶媒中で凝集により溶けなくなってしまうことを避けるため、周囲にかさ高い置換基や長鎖アルキル基などを付与して溶解性を高める設計がなされています。

分子工学専攻 田中隆行 准教授、関 修平 同教授、中川 蒼 同博士課程学生、松尾悠佑 同博士課程学生(研究当時)、佐藤 徹 同教授(兼:福井謙一記念研究センター教授)、大田 航 同特定助教らは、九州大学大学院理学研究院化学部門 恩田 健 教授、宮田潔志 同准教授、江原 巧 同博士課程学生との共同研究により、ヘテロ[8]サーキュレンと呼ばれるヘテロ元素ドープナノグラフェンにおいて、置換基をもたない化合物の合成と同定、その固体状態での分子間相互作用と光物性の解明をおこない、この分子の特異な発光挙動を明らかにしました。

本研究成果は、2024116日に英国の国際学術誌「Chemical Communications」にオンライン掲載されました。

研究詳細

置換基をもたないヘテロ[8]サーキュレンの合成と特異な発光挙動の解明

研究者情報

書誌情報

タイトル

Synthesis of substituent-free dioxadiaza[8]circulene to investigate intermolecular interactions and photophysical properties(分子間相互作用と光物性の調査のための置換基フリージオキサジアザ[8]サーキュレンの合成)

著者

Aoi Nakagawa, Wataru Ota, Takumi Ehara, Yusuke Matsuo, Kiyoshi Miyata, Ken Onda, Tohru Sato, Shu Seki, Takayuki Tanaka

掲載誌

Chemical Communications

DOI 10.1039/D4CC05539J
KURENAI

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分子工学専攻

福井謙一記念研究センター

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