多孔性材料の柔らかさを粒子サイズで制御―硬いと思われた構造は実は柔らかかった―

    化学工学専攻の渡邉哲 准教授、平出翔太郎 同助教、有馬誉 同博士課程学生らの研究グループは、信州大学 田中秀樹 教授と共同で、「硬さ」と「柔らかさ」が共存した特異な吸着特性を示す多孔性材料の機能発現の起源を明らかにしました。

    多孔性材料の吸着特性は、多孔構造が可変かどうかで大きく変化するため、構造柔軟性の理解と制御が求められています。しかし、構造が変化しない剛直性とガス圧力増加に応答して構造変化する柔軟性という2つの相反する特性を併せ持った吸着挙動を示すハイブリッド型多孔体についての理解は不十分でした。本研究グループは、異なる粒子サイズの多孔体を精密に作り分けることで、サイズごとの構造と吸着特性を調べました。その結果、粒子サイズによって構造柔軟性が大きく異なり、それらが混在することで、複合的な吸着挙動が発現することを見出しました。さらに、小さな粒子は極めて構造が柔軟で、より低いガス圧力で構造変化が完了するため、あたかも剛直かのように見えていたことを明らかにしました。極度な柔軟性はわずかな分子特性の違いを検知できるため、この研究成果は同位体分離など難易度の高い分離操作への応用が期待されます。

    本研究成果は、2024年126日に米国の国際学術誌「Science Advances」にオンライン掲載されました。

    研究詳細

    多孔性材料の柔らかさを粒子サイズで制御―硬いと思われた構造は実は柔らかかった―

    研究者情報

    書誌情報

    タイトル

    Size-Dependent Guest-Memory Switching of the Flexible and Robust Adsorption Characteristics of Layered Metal–Organic Frameworks
    (参考訳:層状構造を持つ金属有機構造体が示す柔軟性と剛直性が共存した吸着特性のサイズ依存性とゲスト分子記憶効果)

    著者

    Satoshi Watanabe, Shotaro Hiraide, Homare Arima, Akiko Fukuta, Miyuki Mori, Hideki Tanaka, Minoru T. Miyahara

    掲載誌

    Science Advances

    DOI 10.1126/sciadv.adr1387
    KURENAI

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