データ科学による核融合プラズマの閉じ込め性能予測の高精度化―理論・シミュレーション・実験を結びつけるマルチフィデリティモデリング―

    磁場閉じ込め型核融合炉の性能はプラズマ中で生じる乱流に大きく影響されます。このため、乱流によるエネルギーや粒子の輸送を正確に予測するモデル(乱流輸送モデル)を作ることは、核融合炉開発の重要な研究課題です。

    工学基盤教育研究センターの本多充教授と核融合科学研究所の前山伸也准教授らの研究グループは、マルチフィデリティモデリングと呼ばれるデータ科学の手法を使って、核融合プラズマの乱流輸送モデルの予測精度を高めることに成功しました。マルチフィデリティモデリングとは、多数の低精度データと少数の高精度データを組み合わせ、全体の予測をより正確にする方法です。この手法により、これまでは難しかったシミュレーションの予測性と実験データの定量性という双方の利点を組み合わせることが可能になり、将来の核融合炉の性能を予測し、設計を改善するのに役立つと期待されます。

    この研究成果をまとめた論文がScientific Reports1212日に掲載されました。

    研究詳細

    データ科学による核融合プラズマの閉じ込め性能予測の高精度化―理論・シミュレーション・実験を結びつけるマルチフィデリティモデリング―

    研究者情報

    書誌情報

    タイトル

    Multi-Fidelity Information Fusion for Turbulent Transport Modeling in Magnetic Fusion Plasma (磁気核融合プラズマにおける乱流輸送モデリングのためのマルチフィデリティ情報融合)

    著者

    前山伸也(Shinya Maeyama)1, 本多充(Mitsuru Honda)2, 成田絵美(Emi Narita)2, 登田慎一郎(Shinichiro Toda)1,3
    1
    核融合科学研究所, 2京都大学大学院工学研究科, 3総合研究大学院大学

    掲載誌

    Scientific Reports

    DOI 10.1038/s41598-024-78394-3
    KURENAI

    関連リンク

    工学基盤教育研究センター

    原子核工学専攻

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