多孔質粒子の構造変形機構を実証 ―ミクロな針での押し付けが特性評価の鍵―

    化学工学専攻 有馬誉 助教 (研究当時:博士後期課程学生)、平出 翔太郎 助教、渡邉哲 准教授らのグループは、ドイツの研究グループと共同で、多孔質粒子が内包する分子を「押し出す」ことで、単一の粒子が示す、分子脱着に伴う構造変形のメカニズムを実証することに世界で初めて成功しました。

    構造に柔らかさを持つ多孔質粒子は、その種類や粒子サイズによって、分子の吸脱着に伴う構造変形の様式が異なると考えられてきましたが、その実測は困難でした。本研究グループは、ミクロな針で多孔質粒子を押し付けるという手法を提案し、その応答を熱力学的に解析することで、粒子一粒一粒の構造変形挙動の違いを明らかとしました。従来の方法では、数十mgの粉末試料(多孔質粒子約一兆個)が示す集団挙動の評価に限定されましたが、本手法によって、たった一粒の多孔性粒子が示す、平均値ではない真の粒子特性評価が可能となりました。多孔質粒子の構造変化特性は、ガス分離プロセスの性能を決定づける重要な因子であり、この研究成果は分離性能の向上と高精度化につながることが期待されます。

    本研究成果は、2025410日に、国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」にオンライン掲載されました。

    研究詳細

    多孔質粒子の構造変形機構を実証 ―ミクロな針での押し付けが特性評価の鍵―

    研究者情報

    書誌情報

    タイトル

    Atomic Force Microscopy Strategies for Capturing Guest-Induced Structural Transitions in Single Flexible Metal–Organic Framework Particles
     (参考訳: 原子間力顕微鏡を用いた外力印加による吸着誘起構造転移現象の単一粒子解析)

    著者

    Homare Arima, Shotaro Hiraide, Hiroyuki Nagano, Leila Abylgazina, Irena Senkovska, Günter K. Auernhammer, Andreas Fery, Stefan Kaskel, Satoshi Watanabe

    掲載誌

    Journal of the American Chemical Society

    DOI

    10.1021/jacs.5c01377

    KURENAI

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