海洋性の光合成細菌の窒素固定能力が炭素源の種類で変化 -持続可能な物質生産への貢献を期待-

    材料化学専攻 沼田圭司 教授(理化学研究所(理研)環境資源科学研究センターバイオ高分子研究チームチームディレクター)、鈴木美紀 特定研究員、細胞生産研究チームの白井智量 上級研究員らの共同研究グループは、海洋性の紅色非硫黄光合成細菌の窒素固定化効率や固定化された窒素の代謝経路が、環境中の炭素源の種類に応じて変化し、細胞増殖速度に影響することを明らかにしました。
    本研究成果は、農業用肥料や漁業用飼料だけでなく、生分解性プラスチックの生産ツールとしても期待されている紅色非硫黄光合成細菌を用いた持続可能な物質生産に貢献すると期待されます。
    紅色非硫黄光合成細菌は、光合成と窒素固定の両方の代謝経路を有し、環境中に普遍的に存在する太陽光、二酸化炭素ガス、窒素ガスを用いて菌体を独立栄養的に増殖させることで、環境に対する負荷を低減しながら、有用物質を獲得できます。一方で、光合成と窒素固定の両方を、同時に誘導する場合の代謝経路は複雑で、詳細については不明な点が多いのが現状です。今回、共同研究グループは、海洋性の紅色非硫黄光合成細菌を、無機炭素源(光合成条件下)または有機炭素源を用いて従属栄養的に培養したときの窒素固定化能、および固定化された窒素によるアミノ酸の合成効率を解析しました。
    本研究は、科学雑誌『Scientific Reports』オンライン版(5月26日付)に掲載されました。

    研究詳細

    海洋性の光合成細菌の窒素固定能力が炭素源の種類で変化-持続可能な物質生産への貢献を期待-

    研究者情報

    書誌情報

    タイトル

    Evaluation of nitrogen fixation in the marine purple photosynthetic bacterium Rhodovulum sulfidophilum under autotrophic and heterotrophic conditions

    著者 Miki Suzuki, Tomokazu Shirai, Shamitha Rao Morey-Yagi, Akihiko Kondo, and Keiji Numata
    掲載誌

    Scientific Reports

    DOI

    10.1038/s41598-025-03605-4

    KURENAI

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