地熱システムをモデリングする新手法の開発 ―自然法則×機械学習による地下の特徴の理解―

    附属工学基盤教育研究センターの石塚師也 講師は、九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門の石須慶一助教、産業技術総合研究所再生可能エネルギー研究センター地熱研究チームの渡邉教弘主任研究員、山谷祐介研究チーム長、東北大学流体科学研究所の鈴木杏奈准教授、ローレンス・バークレー国立研究所の万代俊之博士研究員(研究当時)らと共同で、地熱地域で得られた観測データを基に、地熱システムをモデル化し、地下の高温域および高透水領域の分布、地熱流体の流動経路と移動量等を予測する新たな機械学習手法を開発しました。
    地熱資源開発においては、観測データを基に直接は見ることのできない地下の状態や資源の分布を把握する(モデル化する)ことが重要です。このような課題に対して、近年機械学習を応用した手法開発が行われてきましたが、限られた観測データ量において得られたモデルの信頼性に課題がありました。本研究では、観測データに加えて地熱システムの自然法則を学習させ、効率的な学習を行うための解析戦略を研究することで、多量の観測データを用いなくとも、物理的妥当性の高いモデリングを可能としました。開発した手法は、我が国の代表的な地熱地域における3次元の数値モデルに適用し、現実的な地熱モデルにおいても有効であることが示されました。本手法は、地熱資源開発の促進や地熱システムの理解に向けた活用が期待されます。


    本研究成果は 2025年7月23日に、国際学術誌「Journal of Geophysical Research – Machine Learning and Computation」にオンライン掲載されました。

    研究詳細

    地熱システムをモデリングする新手法の開発 ―自然法則×機械学習による地下の特徴の理解―

    研究者情報

    書誌情報

    タイトル

    Reliable and practical inverse modeling of natural-state geothermal systems using physicsinformed neural networks: Three-dimensional model construction and assimilation with magnetotelluric data
    (物理法則を考慮したニューラルネットワークを用いた信頼性と実用性のある自然状態地熱システムのインバースモデリング:3 次元のモデル構築と電磁探査データの同化)

    著者

    Kazuya Ishitsuka, Keiichi Ishizu, Norihiro Watanabe, Yusuke Yamaya, Anna Suzuki, Toshiyuki Bandai, Yusuke Ohta, Toru Mogi, Hiroshi Asanuma, Tatsuya Kajiwara, Takeshi Sugimoto

    掲載誌

    Journal of Geophysical Research – Machine Learning and Computation

    DOI 10.1029/2025JH000683
    KURENAI

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