化石燃料ゼロへのエネルギーシステム転換 ―脱炭素化と脱化石燃料化の違いを定量評価―
国際情勢の緊張感の高まりなどを背景に、気候変動対策に加えエネルギー安全保障の観点からも化石燃料依存の見直しが重要な課題となっています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新報告書では、二酸化炭素除去(CDR)を前提に一定の化石燃料利用を継続する将来像が描かれており、その完全廃止に向けた経路は、まったく検討されていませんでした。そこで、都市環境工学専攻 森翔太郎 助教、藤森真一郎 同教授、北海道大学大学院地球環境科学研究院 大城賢 准教授、国際応用システム分析研究所(オーストリア)からなる研究グループは、複数のシミュレーションモデルを用いて、化石燃料完全廃止に向けたエネルギーシステム転換と、その機会・課題を定量的に分析しました。本研究の結果、2050年までの化石燃料完全廃止には、発電電力量を従来の脱炭素化シナリオ比で約1.6〜1.8倍に拡大する必要がある一方、CDR依存を低減できるといった利点も明らかとなりました。このように、脱炭素化と脱化石燃料化は必ずしも同一の経路を辿らないため、化石燃料の完全廃止を目指すべきかについては、その機会・課題を踏まえた慎重な検討が必要であるといえます。本成果は、2026年5月18日10時(ロンドン時間)に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
研究詳細
化石燃料ゼロへのエネルギーシステム転換 ―脱炭素化と脱化石燃料化の違いを定量評価―
研究者情報
- 森 翔太郎 京都大学教育研究活動データベース
- 藤森 真一郎 京都大学教育研究活動データベース
論文情報
| タイトル |
Challenges and opportunities of the full phase-out of fossil fuels under the 1.5°C goal |
|---|---|
| 著者 |
Shotaro Mori, Siddharth Joshi, Volker Krey, Ken Oshiro, Oliver Fricko, Takuya Hara, Shinichiro Fujimori |
| 掲載誌 |
Nature Communications |
| DOI |
10.1038/s41467-026-72841-7 |
| KURENAI |
