新構造SiC素子で600℃動作を達成 ―真に実用的な極限環境集積回路の実現へ―

電気電子デジタル理工学専攻 金子光顕 准教授、柴田峻弥 修士課程学生(研究当時)、木本恒暢 教授らの研究グループは、極限的な高温環境で動作する集積回路の実現を目指して、シリコンカーバイド(炭化ケイ素、SiC)を用いた新しいトランジスタ構造を開発し、摂氏600度での動作を実証しました。 
現在広く使われているシリコン集積回路は、およそ摂氏250度を超えると正常に動作できません。このためジェットエンジンの内部や、金星の表面(およそ460度)といった環境では、動作が不可能でした。SiCは高温で動作できる次世代半導体として長年研究されてきましたが、イオン注入により作製したSiC接合型トランジスタには、閾値電圧を正確に設計できないことと、高温で基板を通してリーク電流が流れてしまうという2つの大きな課題がありました。 
研究グループは、ゲートをチャネルの下に配置する「ボトムゲート構造」と、pn接合で素子を電気的に分離する「ダブルウェル構造」を組み合わせることで、この2つの課題を同時に解決し、摂氏600度で安定に動作するSiCトランジスタを実証しました。今後は、この新構造を用いて回路化に取り組み、金星探査やジェットエンジン内部モニタリングなど、これまで電子回路が入り込めなかった極限環境での応用につなげていきます。 

本研究成果は、2026年8月17日に米国の国際学術誌「APL Electronic Devices」に招待論文としてオンライン掲載されました。また、本論文は当該学術誌のFeatured articleおよびAIP PublishingのScilightに選出されています。 

研究詳細

新構造SiC素子で600℃動作を達成 ―真に実用的な極限環境集積回路の実現へ―

研究者情報

論文情報

タイトル

Over 600°C operation of ion-implantation-based SiC bottom-gate JFETs(イオン注入で作製したSiCボトムゲートJFETの600℃動作) 

著者

Mitsuaki Kaneko, Shunya Shibata, Tsunenobu Kimoto

掲載誌

APL Electronic Devices  

DOI 10.1063/5.0346734 
KURENAI

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