細胞の形に残る「分裂の記憶」を読み解く ――植物組織の細胞壁染色から、直近の細胞分裂を高精度に推測する手法――

植物は細胞の位置が移動しないので、どの細胞がどの方向に分裂したかは、器官の形を作り上げるうえで非常に大事です。しかしその分裂方向の分析には、多大な時間と実験条件の検討が必要でした。マイクロエンジニアリング専攻 井上康博教授、医生物学研究所 望月敦史教授、東京大学大学院理学系研究科 塚谷裕一教授、立教大学 堀口吾朗教授らの共同研究グループは、植物細胞の形に残る「分裂の記憶」を使って、たった1枚の顕微鏡写真から直近の細胞分裂を多数・高精度に推測する手法を開発しました。 
シロイヌナズナ葉原基の細胞分裂の様子を記録したライブイメージングを正解データとして、7,573 組の隣接する細胞について49種類の形状特徴を解析した結果、娘細胞ペアが共有する細胞壁の両端に現れる「接合角度」が、分裂推測に最も有効であることがわかりました。とくに、平均接合角度145°以上を基準とすると、適合率94.1%、再現率92.5%を示します。 この手法を茎頂分裂組織に応用したところ、こちらでも、適合率98.4%、再現率97.2%の高い性能が発揮されました。 

本研究は、細胞形状から直近の細胞分裂を推測する手法の精度を、ライブイメージング由来の正解データを用いて世界で初めて定量的に検証したものです。さらに、変異体や非モデル植物への応用可能性を示し、誰でも利用できる解析ソフトウェアを公開しました。

研究詳細

細胞の形に残る「分裂の記憶」を読み解く ――植物組織の細胞壁染色から、直近の細胞分裂を高精度に推測する手法――

研究者情報

論文情報

タイトル

Inferring cell division from cell shape(10月8日付掲載)

著者

Zining Wang, Yujie Zhao, Hokuto Nakayama, Gorou Horiguchi, Yasuhiro Inoue, Atsushi Mochizuki, Hirokazu Tsukaya

掲載誌

The Plant Cell

DOI 10.1093/plcell/koag279
KURENAI

関連リンク

マイクロエンジニアリング専攻

医生物学研究所