海底熱水系を覆う分厚い堆積物は300万年続くタイムカプセル
海洋プレートが生成し拡大する「中央海嶺」のうち拡大速度が年間2 cm以下と最も遅い「超低速拡大海嶺」は、巨大な断層を発達させ熱水活動を起こすことで知られ、地殻から海洋への熱や物質の供給源として注目されています。都市社会工学専攻 酒井雄飛 博士後期課程学生、深松優樹 修士課程学生、林為人 教授らの研究グループは、ラトガース大学(米国)、アルフレッド・ヴェーゲナー研究所(ドイツ)、ノルウェー北極大学などと共同で、北極海と北大西洋をつなぐ「フラム海峡」東部の超低速拡大海嶺系での大深度掘削を基に、約300万年前~現在までの熱水活動の変遷と炭化水素を含む流体の流動過程を明らかにしました。
本研究成果は、超低速拡大海嶺の熱水活動の長期的な変遷が、熱水系の上に堆積した堆積層から推定できること、同堆積層の底にこれまで未評価であった炭化水素源があることを示し、北大西洋~北極海に至る超低速拡大海嶺付近に同様のシステムが広く存在する可能性を示唆するものです。超低速拡大海嶺系の熱水活動やその海洋への影響、炭素動態のさらなる解明等への貢献が期待されます。
本研究成果は2026年10月16日に国際学術誌「Geophysical Research Letters」にオンライン公開されました。
研究詳細
研究者情報
- 林 為人 京都大学教育研究活動データベース
論文情報
| タイトル |
Million-Year Scale Hydrothermal and Hydrocarbon Evolution Hosted within Stratified Thermohydraulic Systems in Sedimented Ultraslow-Spreading Settings, Svyatogor and Vestnesa Ridges |
|---|---|
| 著者 |
Yuhi Sakai, Yuki Fukamatsu, Vincent J. Clementi, Yair Rosenthal, Jens Gruetzner, Stefan Bünz, Andreia Plaza-Faverola, Kristen St. John, Renata G. Lucchi, Thomas A. Ronge, Olga Libman-Roshal, Lindsey Monito, Yanguang Liu, Mutsumi Iizuka, Lucinda Duxbury, Lauren Haygood, Osamu Tadai, Go-Ichiro Uramoto, Weiren Lin, Expedition 403 Shipboard Scientists |
| 掲載誌 |
Geophysical Research Letters |
| DOI | 10.1029/2026GL123130 |
| KURENAI |
