褐藻への核酸送達技術の確立 -非遺伝子組換えかつ簡便な褐藻改変手法の開発-

材料化学専攻の沼田圭司教授(理化学研究所(理研)環境資源科学研究センターバイオ高分子研究チーム・チームリーダー、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授)、理化学研究所環境資源科学研究センターの吉永直人基礎科学特別研究員(慶應義塾大学先端生命科学研究所特任助教)らの共同研究チームは、褐藻(かっそう)の粘膜層/細胞壁の多糖類と細胞膜上のボロン酸輸送体を標的とするフェニルボロン酸(PBA)リガンドをナノ粒子に搭載することで、効率的に核酸(siRNA)を褐藻内に導入することに成功しました。
本研究成果は、非遺伝子組換えにより褐藻を一過的に形質改変したものであり、環境への耐性を持つ種の作製や褐藻の生物学的特性に関する理解の促進などへの貢献が期待できます。
ワカメやコンブなどを含む褐藻は、産業的・生態学的に重要な種ですが、褐藻の特性理解に有効な、外来核酸の導入による遺伝子発現制御手法はほとんど確立されていませんでした。
今回、共同研究チームは、モデル褐藻であるシオミドロを用いて、細胞透過性の機能性ペプチドとsiRNAから成るナノ粒子表面にPBAリガンドを搭載することで、ナノ粒子が効率的に褐藻内に取り込まれることを見出しました。この手法を用いて、褐藻細胞内において、導入したsiRNAにより標的タンパク質の発現を抑制することに成功しました。
本研究は、科学雑誌『JACS Au』オンライン版(3月22日付:日本時間3月22日)に掲載されました。

研究詳細

褐藻への核酸送達技術の確立 -非遺伝子組換えかつ簡便な褐藻改変手法の開発-

研究者情報

書誌情報

タイトル

Phenylboronic Acid-Functionalized Micelles Dual-Targeting Boronic Acid Transporter and Polysaccharides for siRNA Delivery into Brown Algae

著者

Naoto Yoshinaga, Takaaki Miyamoto, Mami Goto, Atsuko Tanaka, and Keiji Numata

掲載誌

JACS Au

DOI

10.1021/jacsau.3c00767

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