技をこらし 術をつくす

山岡 莊

山岡様写真私は2000 年4 月に京都大学に採用され、合成・生物化学専攻に配属されました。当専攻には技術職員で構成する技官室(京都大学が独立行政法人になるに伴い技術室と名前を変えて、現在に至ります)があり、そこで仕事をする日々がスタートしました。

私が携わることになりました仕事は専攻共通サーバの構築・管理・運用とネットワーク管理支援でした。

前職でシステム管理を少し経験していましたが、サーバの構築から管理と運用のすべてを任されるのは初めての経験でした。技官室に同じ仕事に携わっている人がいないこともあり、書籍やインターネット上の記事を読んで情報収集をおこない、それを試してみる、という試行錯誤を繰り返して、サーバの構築に取り組みました。ハードウェアの選定からソフトウェア(OS や各サービス)の設定まですべて完了し、サーバを実稼働させた時の不安と喜びは今でも忘れられません。

また、ネットワーク管理は、若干の知識はありましたが、実際の管理経験はなく、こちらも初めての経験でした。当時の工学部4 号館は、各階に10BASE-5 のイエローケーブルが敷設してあり、トランシーバから各部屋にケーブルを取り込んでPCを接続していました。そして、各階のイエローケーブルをリピータで繋いでいました。このようなネットワーク形態では、ある箇所で通信障害が発生すると工学部4 号館全体に影響を与えてしまい、館内全体が通信停止に陥ることがありました。化学系LAN 委員の先生と一緒に、トランシーバとの接続を1 箇所ずつ取り外して障害箇所を特定し、原因を調査するという大変な作業をおこないました。ノートPC 持参で各階の各部屋にお邪魔させて頂き調査していたあの頃は、今は懐かしい思い出です。

いずれも大変でしたが、自分がスキルアップすることにやりがいを感じ、充実した日々を過ごしていました。

そして、2003 年11 月に当専攻は桂キャンパスに移転しました。キャンパス移転は準備段階から移転完了するまでいろいろな面で大変でしたが、ネットワーク管理支援に関しては、桂キャンパスはKUINS-III が導入されましたので、PC を接続するのも簡単になり、随分楽になりました。また、通信障害の対応も、障害箇所を特定するのが以前より随分楽になりました。おかげさまで、今はサーバの構築・管理・運用が主たる業務になりました。

この17 年間で、先輩方の退職と後輩達の採用があり、技術室の構成員も随分変わりました。採用当時の先輩方は退職され、いつの間にか、私が古株になってしまいました。そこで、私が大切にしている、また後輩達にも伝えている、ある先輩のお言葉を紹介したいと思います。

山岡様図1

「技をこらし 術をつくす」

共に協力し合い、専門分野を独自に研鑚し、京都大学の研究・教育を支援することが、技術職員のめざす姿である、という意味です。私は、この言葉と先輩方の温かい応援のおかげで、頑張ろうという気持ちを維持することができました。先輩方に本当に感謝しています。そして、先輩方が築いてこられたこの技術室が、今後も先生や学生さんから「ありがとう」のお言葉をたくさん頂ける素敵な技術室であり続けられるよう、技術室の皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います。

(技術専門職員)