エネルギー管理サイトを立ち上げました

技術専門職員 大岡忠紀

大岡さま 環境安全衛生センターは実験室の研究が安全に行われるためのサポートを実施しており,私は主にエネルギー管理を担当しています。電力・ガス・水の使用量データを確認して,量の把握や削減提案などを行っています。
 使用量データは予知保全にも活用しています。例えば毎月10m³であった水データが,突然500m³に増加した事がありました。日・時刻単位のデータを見るといつから発生しているのかが分かります。発生日は原因特定の有用な手掛かりとなる情報です。また,年・月単位のデータを見て,まれに起きる正常な事なのか,異常な事なのかを判断します。実際に「バルブの緩みによる水漏れ」「循環冷却水の配管ミス」などの発見に役立ちました。
 2022年は電気やガスの単価が高騰し,節電対策が求められました。対策の一環として,実験室の電気・ガス・水道使用量等をWEB上から確認できる「エネルギー管理サイト」を立ち上げました。公開はしたのですが,そもそもの出発点は自分の業務効率化のためのツール開発でした。
 桂キャンパスには「WEB検針システム」という電力等可視化システムが設立時から稼働しています。ほぼ全ての実験室に電力メーターを設置し,WEB上で使用量を確認できるという先駆的なシステムです。しかしながら,現在データ収集は継続していますが,システムの老朽化により,閲覧する事はできません。測定点は約3,200点あり,毎時刻データが追加されていきます。2010年からのデータは,1点当たり約10万件分あり,これだけの長期計測データは活用できれば価値はありますが,膨大な量であるため扱うのが困難です。
 このデータを用いてエネルギー解析を表計算ソフト等で行なっていましたが,膨大なデータを精査する為の前処理工程やPCの処理速度の遅さに限界を感じ,別の方法を模索しました。紆余曲折を経て,データはデータベースソフトに格納し,グラフ等はWEBブラウザに出力する方法に至りました。前処理過程のプログラミングや表示内容のテンプレート化によって,1時間掛かっていたものが十数秒程度となり,結果を得るまでの時間が劇的に改善しました。このシステムを基にして,エネルギー管理サイトを開発しました。
 「エネルギー管理サイト」ではデータを時刻・日・月・年の単位で見る事ができます。様々な時間尺度で表示する事により,その実験室の短期的・長期的な傾向を捉える事ができます。例えば,次のものをそれぞれ1画面で表示できます。
・日毎推移(過去3年度分の日毎使用量)
・年間・月間推移(2010/4からの月間,年度毎使用量)
・Heatmap解析(2013/4/1 0:00からの時刻毎使用量)
 教職員であれば,学内の何処からでも,何時でも,PCだけでなくタブレットでもアクセスする事ができます(SPS-IDとパスワードは必要です)。実験室の使用状況把握や省エネ対策の効果確認,故障状況の確認などにご活用ください。
 今後もエネルギー管理サイトを改善する事で,研究室や研究科の支援を続けたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(共通支援グループ)

エネルギー管理サイト(桂キャンパスの月間・年間推移)
エネルギー管理サイト(桂キャンパスの月間・年間推移)

参照:
エネルギー管理サイト
https://www.manage.emc.t.kyoto-u.ac.jp/kyoto/katsura/index.php
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