土木工学科125周年記念事業報告

地球工学科 土木工学コース長 髙橋良和 土木工学コース教務 音田慎一郎

 京都帝国大学が創立された明治30年(1897年)6月18日に土木工学科と機械工学科が設立され,令和4年(2022年)に土木工学科は創立125周年を迎えました。設立以来,様々な組織変更を経ながら,平成8年(1996年)に土木工学科,交通土木工学科,衛生工学科,資源工学科の4学科を統合した学部教育組織として地球工学科が発足し,土木工学科は地球工学科土木工学コースとして今日に至っています。
 土木工学コース卒業生の同窓会組織として,京都大学土木会(略称は京土会)があります。京土会は,明治33年(1900年)7月,土木工学の発展に寄与し,会員相互の親睦を図ることを目的として設立され,京都大学同窓会組織の中で長い歴史と輝かしい伝統を有しています。京土会では,創立60年を機に「京都大学工学部土木工学教室六十年史」を編纂し,10年ごとに土木工学教室の歴史を編纂してきました。最新の教室誌は平成29年(2017年)に刊行した「京大土木百二十周年記念誌」です。10年ごとの編纂のため,125周年時には教室誌を編纂していませんが,京都大学創立125周年記念冠行事の一つとして,創立記念日である令和4年6月18日,京土会総会を開催しました。総会は,コロナ禍を踏まえたハイブリッド形式とし,昭和28年(1953年)から令和2年(2020年)まで,67年も卒業年次が異なる同窓生115名(会場38名,オンライン77名)の出席を賜り,京土会の事業報告,各支部からの報告とともに,特別講演,また社会基盤工学専攻・都市社会工学専攻・都市環境工学専攻の近況報告がなされ,最新の状況を同窓生と共有しました。また,平成9年(1997年)に設置された京大土木100周年記念資料館を開放しました。
 京大土木100周年記念資料館は,土木工学教室本館であった吉田キャンパス総合研究14号館の1階にあります。開設後,平日は開館していたものの,工学研究科の桂キャンパス移転により基本閉館となっていたものを,創立125周年記念として特別開館しました。記念資料館には,明治以来続く長い歴史の中で保存されてきた研究,教育関係の資料ならびに卒業生関連の資料の保管とその一部が展示されています。明治33年(1900年)の一期生卒業論文や,明治期から続く入学時の学年集合写真も所蔵されており,当時の学生生活をうかがい知ることができます。また多くの大正期・昭和初期の島津製作所製教育用模型が保管されており,その大半は島津製作所創業記念資料館にも保管されていない貴重な教育模型であり,我が国の土木工学教育の歴史を知ることができる第一級の資料です。参加者は貴重な資料が残されていることに驚くとともに,入学時集合写真を見つけ,興奮冷めやらぬ様子でした(写真参照)。
 土木工学コースでは,若手研究者の育成,世代や業種を超えた研究者,技術者の交流,国際化への対応など,土木工学の更なる発展と社会への貢献を引き続き進めてまいります。

土木100周年記念資料館
土木100周年記念資料館
土木100周年記念資料館02