「京都大学 女性研究者産学連携ネットワークイベント:桂ジェネ」開催報告 -テクノサイエンスヒル桂構想に関わる取組み(令和4年度の活動成果)-

リサーチ・アドミニストレーター 下郡三紀

 京都大学桂キャンパスでは,令和4年度も “テクノサイエンスヒル桂構想に関わる取組み1)” として,工学研究科,桂図書館,桂キャンパスURAの連携のもと,「展示2)」「WEB/動画2)」「試験実装」「イベント3)」の形で桂キャンパスの研究シーズを発信し,イノベーション創出基盤の創成や産学連携ネットワークの構築に取り組みました。
 これら取組のなかで,本年度は,京都大学が全学的な研究支援として重視している「多様な研究者が活躍できるダイバーシティ実現」の観点から,女性研究者の活躍例を紹介するとともに,産学の専門分野を通したネットワーク構築を図ることを趣旨とした,女性研究者産学連携ネットワークイベント「桂ジェンダーットワーク(桂ジェネ)」を企画し,9月21日に開催しました。
 イベント当日は,1件の基調講演,4件の研究発表の後,オープンディスカッション,展示を行いました。イベントはハイブリッド形式で,オンラインと会場合わせて73名にご参加頂きました。約6割が学術界からのご参加で,女性研究者支援に対する関心の高さが伺えました。
 基調講演では,科学技術振興機構(JST)シニアフェロー 渡辺美代子様より,多様な事例を含めたジェンダード・イノベーションに関する大変興味深いご講演をいただきました。研究発表では,まず,SDGs11“住み続けられるまちづくりを”のテーマに関して,工学研究科 吉光奈奈助教,積水ハウス株式会社 片岡奈々美様にご登壇いただき,次にSDGs3“すべての人に健康と福祉を”のテーマに関し,薬学研究科 樋口ゆり子准教授,株式会社島津製作所 寺本華奈江様にご登壇いただきました。今回企画の新しい試みとして,開発技術そのものではなく,社会課題解決の括りでテーマを策定しましたが,課題解決に向けて各々の研究開発が繋がっていくイメージが共有しやすい等,好評を得ました。
 オープンディスカッションでは5名の登壇者に,まず,研究に興味をもったきっかけや,どのように研究開発を進めてきたか(モチベーション)等について伺いました。今回,女性研究者の活躍を中心にイベントを企画しましたが,活発な意見交換により,理系選択や女性研究者活躍支援に関する課題が共有できた他,「技術で課題を解決する」という真摯な取り組みは,性別によらず,研究者全般に必要という共通の認識を再確認する形となりました。イベント終了後,「様々な分野でより多くの女性研究者が活躍できるよう,環境整備にむけた連携をしたい」等のコメントも頂き,本イベントの趣旨である産学の専門分野を通したネットワーク構築に向けて,今後に繋がる場の一つが提供できたのではないかと考えます。
 “桂ジェネ”は女性研究者キャリア形成の促進,世代間のネットワーク構築につながる新たな展開も目指しており,令和5年度も開催を計画しています。今後もこのようなイベントの企画・開催を通じて,女性研究者及び若手研究者の活躍促進を推進していきます。

(学術研究展開センター)

参照:
1)京都大学工学広報 No.74(2020.10)
「新しい図書館の姿」
桂図書館長 岸田 潔
https://www.t.kyoto-u.ac.jp/publicity/no74/introduction/jrjlgh
工学広報74記事

2)京都大学工学広報 No.75(2021.4)
「テクノサイエンスヒル桂を目指して」
学術研究支援室 URA 大西 将徳
https://www.t.kyoto-u.ac.jp/publicity/no75/introduction/714x12
工学広報75記事

3)京都大学工学広報 No.77 (2022.4)
「京都大学テクノサイエンスヒル桂の実(みのり)VOL.1,2~インダストリアルデイ2021~」開催報告
学術研究支援室 URA 下郡 三紀
https://www.t.kyoto-u.ac.jp/publicity/no77/news/rcqtv60jrloq
工学広報77記事

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