学生たちの手で更新された吉田ギャラリー

建築学科 講師 小見山陽介/助教 安田渓

設計演習の講評会がより多様でより開かれたものへ
 「設計演習」とは建築学科の学生が1回生から必修で取り組む演習課題の総称で,与えられたテーマに基づいて学生各自が建築の設計を行います。課題提出後には出題者と学生とが討議し合う「講評会」と呼ばれるフィードバックの機会が設けられており,学部生の設計演習の講評会は吉田キャンパス総合研究9号館4階の吉田ギャラリーで実施されています。講評会中だけでなく図面と模型がその後1週間展示されることで,授業外の方も学生の成果物を見ることができます。
 コロナ禍以降オンラインとの併用による授業運営の自由度が高まったことから,これまでは難しかった遠隔地からの講師招聘が可能となり,設計演習カリキュラムのアップデートが行われました。現在では,多彩な外部講師を招いた多様性のある課題設定や,動画同時配信も交えたより開かれた講評会が開催されています。一方,展示方法の自由度が小さい吉田ギャラリーは,整備から20年を経てこうした授業実施形態の変化に合わせ難くなってきていました。

学生とのワークショップ形式で行われたギャラリーの改修
 そこで建築学科では,日常的な少人数での利用から100名程度で利用する展示講評会まで対応する可変性と,建築設計図面・模型の展示や学内外へのライブ配信に耐える意匠性を備えた場とすべく,工学研究科長裁量経費の採択を経て,2022年度に吉田ギャラリーを改修しました。単なる改修ではなく,展示用什器や展示空間改修の設計,制作・施工のプロセス自体を学生の学びの機会として活用するため,建築学専攻学生・教員と什器制作会社とのワークショップ形式でプロジェクトを実施しました。
 参加学生たちは実務経験豊富な建築学科教員の助言を得ながら現在のギャラリーの課題と可能性を調査し,展示方法のフレキシビリティが高く,コンパクトに収納が可能で,壊れにくいシンプルな機構を持つ模型展示台を製作することになりました。什器制作会社の工場を見学し実際の材料や加工機械に触れたり,毎週金曜日の定例会議の場で製作上で直面した課題に助言を得るなどしながら,何度も試作を繰り返し,最終的な製作へと至りました。

京都大学における建築設計教育の発信の場としての活用
 本プロジェクトの途中経過は,「吉田ギャラリープロジェクト プロトタイプ展」(会期:2023年1月16日(月)〜20日(金))として桂図書館のロビースペースに展示され,演習授業と大学施設の新しい関係づくりにも寄与しました。
 新装されたギャラリーは,2023年度より設計演習ほかで使用されます。展示環境が美しく見やすくなり,京大建築学科の魅力を学内外により良く発信できるようになりました。

桂図書館での展示風景「吉田ギャラリープロジェクトプロトタイプ展」.png
桂図書館での展示風景「吉田ギャラリープロジェクトプロトタイプ展」

完成した展示什器と改装された展示壁の前で,ワークショップ参加者で記念撮影.png
完成した展示什器と改装された展示壁の前で,ワークショップ参加者で記念撮影

実際に設計演習の展示で使用されている様子.png実際に設計演習の展示で使用されている様子