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研究科長あいさつ

大嶋先生

「工学」は、今日まで、さまざまな“物質”や“技術”を創造し、人々の生活を豊かにするために貢献してきました。その役割は未来においても変わることなく、未来社会を創造する上でも重要な学問であり続けるはずです。

京都大学大学院工学研究科は、「基礎となる学理をしっかりと学んでおくことが、将来の幅広い応用展開や技術の発展を可能とするための必須条件である。」という本学工学部の教育理念をしっかりと継承し発展させた大学院教育を行っています。

「ものづくり」では、完全無欠のものを100%完璧な方法でつくるということが難しい場合があります。そのような場合、次善の策として、欠点を認識したうえで目的を達成できるものを所定の期限までに考案し、そののち改善を重ね、より完全なものに仕上げていくということが行われます。このセカンドベストでもよいから一つの解を出すというやり方を工学的アプローチと呼ぶことがあります。本研究科は、このアプローチを遂行できる能力だけでなく、「なぜそのような現象が起こるのか?この課題を司る基本原理は何か?」など、ものごとを根本から考え、論理を積み上げて、解を提案していく能力をも重要視しています。問題の根源を探り、「真理の探究」がなされて初めて、世の中になかった新たな物質や、世界で誰も考えなかった独創的な技術を生み出せると考えています。この能力を涵養することが、本研究科の卒業生が未来社会の創造に貢献するためには必要であると信じています。

現在、本研究科は、17専攻と8つのセンターで構成されています。学生の皆さんは、各専攻やセンターの中の研究室にそれぞれ配属され、教員の指導のもと特定の研究課題に取り組みます。その中で、専門的な知識を学修し、研究の遂行能力・研究成果の論理的説明能力をはじめ上述した能力を培っていきます。これをORT(On the Research Training)と呼びます。各専攻にどのような研究室があるか、その研究室でのどのような研究が行われているかは、このホームページにリンクした専攻やセンターのサイトを見て是非調べてみてください。さまざまな研究がなされていることがわかります。また、学術研究における高い倫理性や国際性を育むための大学院共通科目や課外活動も、工学基盤教育研究センターから提供されています。国際学会で研究発表を行うために、いろいろな国を訪れる機会もあります。

研究を通しての大学院での学びは、解ける問題を与えられて解を導き得点をとるという高校や学部での授業科目とは大きく異なります。研究の開始当初は、正解は教員も誰もわかりません。解が複数あるかもしれません。ジャパニーズアトラクタ※1のように教員が考えてもいなかった方向に皆さんの研究が発展して行くこともあります。研究を通して、いろいろな壁にあたり悩むこともあると思います。困難であればあるほど学べることが多いはずです。また、困難であればあるほど、解決策を見つけたときや新たな発見をしたときの喜びは格別なものとなります。大学での学びの神髄がそこにあるといえます。

若い皆さんには、無限の可能性があります。是非、その可能性を大切にして、理想と夢の実現に向けて、大学院で学び、豊かな研究生活を過ごして欲しいと思います。そして、皆さんが、未来社会の創造にそれぞれ貢献されることを強く望んでいます。

※1 「ジャパニーズアトラクタ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2018年4月6日 (金)11:48 UTC、URL: http://ja.wikipedia.org