SiC集積回路の量産へ大きく前進 ―極限環境で真に使えるICの社会実装へ―
電気電子デジタル理工学専攻 金子光顕 准教授、木本恒暢 教授、フェニテックセミコンダクター株式会社らの共同研究グループは、極限環境で動作する集積回路の実用化に向けて、シリコンカーバイド(炭化ケイ素、SiC)製のトランジスタを 6インチ(直径約 15センチ)の SiC ウェハ全面にわたって一括作製する技術を実証しました。
現在広く使われているシリコン製の集積回路は、およそ摂氏300度を超えると正常に動作できません。このためジェットエンジンの内部や、金星の表面(およそ460度)といった環境では、高温でも動く専用の電子回路が必要になります。SiC はこうした極限環境で動作できる次世代半導体として長年研究されてきました。京都大学の研究グループはこれまでに、SiC の接合型電界効果トランジスタ(JFET)を組み合わせた相補型 JFET 論理回路の動作を実証してきましたが、実験室レベルの小さな試料での試作にとどまっており、実用化のためには大きな SiC ウェハ全面で多数のトランジスタを均一に作製する技術が必要でした。
今回の研究では、6インチ SiC ウェハ全面に n 型・p 型の JFET を一括で作製し、正常な動作を確認しました。特に、ウェハ中心部分(直径 90 ミリの領域)では、閾値電圧のばらつきが標準偏差 0.07 ボルト以下という高い均一性を実現しました。これは実用的な集積回路の実現に不可欠な技術的マイルストーンです。
本研究成果は、2026年9月27日から10月2日にかけて横浜市で開催される国際会議「International Conference on Silicon Carbide and Related Materials 2026(ICSCRM2026)」においてLate Newsとして発表されました。
研究詳細
SiC集積回路の量産へ大きく前進 ―極限環境で真に使えるICの社会実装へ―
研究者情報
- 金子 光顕 京都大学教育研究活動データベース
- 木本 恒暢 京都大学教育研究活動データベース
論文情報
| タイトル |
From lab to fab: Wafer-scale fabrication of SiC ion-implantation-based side-gate p- and n-JFETs toward CJFET ICs |
|---|---|
| 著者 |
Mitsuaki Kaneko1, Yoshimori Okamura2, Kunihide Oozono2, Tetsuro Akasaki2, Kazuki Ariura2, Kyota Mikami1, Tsunenobu Kimoto1 (1. Kyoto Univ. (Japan), 2. Phenitec Semiconductor Corp. (Japan)) |
| 発表会議 |
International Conference on Silicon Carbide and Related Materials 2026(ICSCRM2026) |
