工学部衛生工学科創立60周年記念セッション「未来に向けた環境工学の挑戦」を開催しました(2018年7月27日)

 工学部衛生工学科(現・工学部地球工学科環境工学コース)が創立されて今年で60周年となります。環境工学が扱う問題も典型7公害(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭)から気候変動等の地球環境問題にまで広がり、いまや人類の発展は地球規模での限界に直面しています。また、我が国のように人口減少・高齢化・価値観の多様化に困惑する社会が存在する一方で、世界には人口爆発や人間安全保障の未充足に苦しむ社会が依然存在します。
 京都大学工学部地球工学科環境工学コースは、工学部衛生工学科創立60周年を記念して、7月27日午後、京都大学吉田キャンパス百周年時計台記念館国際交流ホールI・II・IIIで「未来に向けた環境工学の挑戦」と題したシンポジウムを開催しました。これは、同じく創立40周年を迎えた京都大学環境衛生工学研究会の第40回京都大学環境衛生工学研究会(京衛研)シンポジウムの企画セッションと合同で開催したものです。会場には、衛生工学科時代から現在に至るまでの関係する教員、卒業生、在籍生、京衛研関係者など、150人余りが参加し、大きく国内外の社会背景が変化する中で、未来に向けた環境工学の研究・教育への展開はどうあるべきかを議論しました。

大嶋研究科長挨拶 パネルディスカッション

 シンポジウムの冒頭、大嶋正裕 工学研究科長からは、主催者を代表して、「衛生工学科は京都帝国大学の設立と同時に発足した土木工学3講座の1つが発展的に改組され、1958年4月に設立され、関係する研究室は14にまで広がった。これまで様々な環境問題解決に取り組んで来られたが、これからも一層強いリーダーシップを取って、山積する問題解決に向かってほしい。」と挨拶をいただきました。次に、本学 田中宏明教授からは、廃棄物、水、健康の分野を代表する研究者から将来の環境工学の在り方を議論いただく趣旨が説明されました。

 北海道大学 松藤敏彦教授からは「ごみ処理への期待の増加と合理化を阻む制約」と題した講演を、東京大学 古米弘明教授からは「都市水システム・水環境に関する研究の新展開について」と題した講演を賜り、現状の環境問題を専門分野からご指摘いただくとともに、今後の展望について紹介いただきました。本学 高野裕久教授からは「毒性からかく乱へ 環境衛生学の新たな展開」と題した講演にて、生命を衛るための学問である衛生学の歴史や環境衛生学の未来への展望が述べられました。

 本学 伊藤禎彦教授が司会を務めたパネルディスカッションでは、講演者ならびにフロアーの現役若手教員、卒業生、本学名誉教授から、未来に向けた環境工学の研究・教育への展開についての多くの有用な意見があり、議論を深めました。

 その後行われた記念祝賀会でも議論は続き、盛況のうちに閉会となりました。

会場の様子 記念祝賀会
主催:
京都大学工学部地球工学科環境工学コース
京都大学大学院工学研究科
京都大学環境衛生工学研究会
京都大学大学院地球環境学堂

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